「インターネット概論」の目次

付録1: A1.インターネットの周囲

平成10年4月21日17時49分版


 以前に初心者用のインターネットの本を書いて欲しいと頼まれた時の 第1章の部分を付録としてつけます. 若干,手を加えていますが,ほとんどそのままの文章です. 絵もスケッチはどこかにあると思うのでいつかつけるかもしれませんが 今は想像して下さい. 想像しにくくて大事なものから加えていくつもりです.

 この文章は私が良くインターネットの講演を頼まれていた頃 (インターネットの名前が世に知られ始めた頃ですね) 主に初心者向けに話して内容を思い出しながら書いたものです. 「計算機通信は第4の通信手段」という話し始めは 身体障害者とそのボランティアの方達に インターネットを理解してもらおうと考えた筋書きで,それ以降良く使っています.

 この付録A1は,ややもすれば(ほとんどだと言われましたが), 難しい話しに意図的にしている講義の合間を埋めるものだと思って下さい.


A1.1 計算機通信は第4の通信手段

 2人(匹)以上の人(動物)がいれば互いに連絡をしたり,意志を通じあう必要があり, そこから通信(communication)が始まったのでしょう. その手段は音であったのが言葉になり互いに見える範囲で通信をしたのでしょう. それが最初(第1)の通信だと考えると媒介は音や言葉であり,ポイントは 直接,顔を見合って話す事でしょう.

図1.1 言葉による直接の通信

 2番目に通信手段は手紙に書いて送ったり, 本にして残したりして通信をしたと考えられます. ここでは新たにメディアとして手紙や本という形があらわれ, ポイントは直接会わなくとも伝えられて記録にも残る事でしょう. 第2の通信手段が出来たといって第1の通信手段がなくなったわけでなく, 第2の通信手段の欠点として通信に時間がかかる事が分かります. 当然,場合場合に応じて2つの通信手段を使い分けていたわけです.

図1.2 手紙と本による通信

 電話が発明されるまでは,今述べた状態が続いたわけですが, 今世紀に入って電話が発明されてからは通信に大きな変化があらわれました. まず電話ですが,発明された当時は電話の使い方の講習会が開かれたでしょう. 第3の通信手段である電話の特徴は距離を越えて直接顔を見なくとも 即時(realtime)的に通信が出来た事でしょう.

図1.3 電話とFAXによる通信

 電話の弱点であるのは記録が出来ない事と (テープレコーダに記録する手はあります), その場にいないと通信が出来ない事です. 実は後者の弱点はもっと大きな欠点になっています. それは電話の発信者からは相手が居れば電話で通信出来るのですが, 電話の受信者からみれば居れば電話に捕まる事になり, 電話に出れば少なくとも一言二言会話をしないといけない点です.

 そのため根をつめた仕事中ならその緊張感が破れます. 「ピープルウェア」という聞きなれない言葉があります. これはハードウェアとかソフトウェアと同じように(表現は変ですが) 人間らしさを考える切口の研究です. このピープルウェアの研究では, 人が緊張状態から一旦緩んでまた同じ状態に戻るのに15分掛かると言われています. それでは1時間に4回電話が掛かってくるとか上司から話し掛けられるとかすれば 緊張状態になれないわけです. これは日本の会社では昼間はしっかりと仕事が出来ないという事と示しています. 会議室や図書室や場合によっては喫茶点に仕事を持って逃げる事とも合っていますね.

 FAXは今の電話の弱点をクリアするものとして現れました. これが第4の通信手段かというと, ここでは第3.5の通信手段とそこまで画期的に変化していないという意味で 第4にはなりえないと思います. 確かにいなくとも届きますし (今では味気ないですが留守番電話があります),記録にも残ります. 我々が1990年前後にインターネットを使って電子メイルをやっていた時にも, 「FAXで十分やないか,なんでややこしい電子メイルなんか使うんや」と 良く言われたようです.

 FAXの弱点を上げる前に計算機通信の仕組み上の長所を上げておきます. 計算機通信の説明を最初から言っても難しそうなので簡単のため, インターネットやパソコン通信の電子メイルを考えてみましょう. 計算機通信では通信の部分はネットワークですが, 人間の手元に来る所や途中で計算機が入っていて 適正な処理をしてくれる点にあります. 電子化されているとかディジタル化されているとか (同じ事ですが)の表現もありますが,やはり計算機で処理している事が, どのようにでも容易に加工出来る事で大きいと思います. 詳細は電子メイルの所で話しますが, 電子メイルの実際の中身は文字の固まりでも, その文字列を計算機が約束にしたがって相手に届けてくれ, また場合によっては,そのデータを音声とみなしたり画像とみなしたりしてくれます. また暗号化を施す事によって信頼できる通信も実現できます.

図1.4 計算機通信

 この第4の通信手段であるインターネットやパソコン通信で代表される計算機通信は, 今までの居ないと届かないとか記録出来ないとか加工が出来ないという弱点を すべてクリアしています.

 ここで断っておきますが,言いたいのはインターネットが何でも出来るから 通信手段はすべてインターネットになりますという事ではありません. 確かに,これから徐々に話していきますが,インターネットの発展と ともに(いつまでもインターネットという言葉でいくかは分かりませんが)

という時代はもうすぐそこまで来ていると思います. しかし第1の通信手段である会話や会合がなくなるとは思えません. それは計算機通信では機械的な計算機が中に入るため どうしても感情的な機微まで計算機通信に盛り込めるかなという気がするからです.

A1.2 コンピュータを文房具に

 少し計算機の話をしましょう. 計算機は「計算機」と言われるのですから計算する機械として発明されました. 今のいろいろな計算機の使い方を考えると 最初は計算機は計算するだけで精一杯の能力しか持たなかった, また別の見方をすると計算機が高価だったのでまずは, 人には出来ない高速な計算を計算機にさせていたとも考えられます.

図1.5 大型計算機

 1980年前後からマイクロコンピュータが現れ, 計算機を構成する演算装置(CPU)やメモリーが価格的に手頃になってくると, 身近な所では家庭電器製品の中にも小さな計算機が使われ始めました. 計算機も電卓のように簡単な計算が出来るものが, また大型計算機(汎用機とも言います)でなくミニ・コンピュータや オフコンと呼ばれる計算機も出て来ました. 著者も大学院時代に自由に扱えるミニコンが手元にあり, そのミニコンのソフトウェアの中身を夜が更けるまでハックしたのが 今の境遇の一端となっているような気がします.

図1.6 深夜までハックする若い頃の著者

 少し横道に入りますが,今,新聞などで「ハッカー」として取り上げられている この名前は正しくありません. ネットワークを通して計算機に無断で侵入してパスワードを盗んだり, 計算機の中身を破壊したりする人の事を指すようです. もともとハッカーとは「計算機(最初は電話システムだったそうです) の中身(ハードウェアやソフトウェア)をマニュアルに書いてある事以上に とことん調べる人」を意味しており, 更には「本来の仕事を忘れて好きな計算機のシステムを調べる人」 「仕事や論文の締切日の前日に,好きな計算機(ハードやソフト) いじりをする人」の事です. その意味ではハッカーとは良い人で(会社の中で出世出来るとは限りませんが) 愛すべき人です. それに対して新聞等で取り上げている「ハッカー」は 「破壊者(cracker)」「侵入者(intruder)」と呼ぶべき人です. 私も話をする時は意識的に「クラッカー」と言っています.

図1.7 ハッカーとクラッカー

 現在,計算機本体やメモリーやハードディスク等の周辺機器の価格が どんどん下がってきた事と, ワープロや表計算のソフトウェアの利用技術が上がったきた事で, 計算機を文房具のように使う事があたりまえの事になってきました. 大学でも情報処理演習というばプログラミング言語を教える事だったのですが, 今はマウスやウィンドウの扱いとキー入力を並行して教えながら, まずはワープロや電子メイルから教えて, 後は専門に応じて表計算やデータベースやプログラミングを教えるのが 常識になっています.

 子供の頃から鉛筆とノートでいろいろと勉強した事を, それぞれの用途に合わせて便利な電子的な道具を使い, より頭を使う事に人の頭脳を使おうというわけです. OAの三種の神器として「ワープロ」「スプレッドシート(表計算ソフト)」 「データベース」があると聞いた事があります. 最後のデータベースは「カード型データベース」を言った方がよいでしょう. これに最近では「お絵書きソフト」「パソコン通信ソフト」をつけると まあ大体の事務的な仕事がこなせそうです. 現実にこのようなソフトを組み合わせた統合ソフトウェアが出ています.

図1.8 OAの3種の神器

 ソフトウェアが使いやすくなった事が今まで話した事もポイントですが, その操作性がマウス等の入力装置とグラフィカルな表示が出来る高精細度な ディスプレイが出て来た事も大きいと思います.


A1.3 コンピュータの役割分担

 計算機を演算装置やメモリーやディスクやキーボードやディスプレイのように 目に見える形で分類するのではなく機能で分けて考えてみましょう. 先程は計算する装置あると言ったのですが, 大容量の記憶媒体が出てきたので,ものを覚える装置としても考える事が出来ます. また,計算機を扱うのは人であると考えると, 計算機のキーボードやマウスは人が考えている事を伝える装置であり, ディスプレイやプリンターは計算機が処理したり 保存したものを人に伝える装置と考える事ができます.

図1.9 計算機システムのアーキテクチャと機能

 大型計算機やパソコンは, これらの計算や保存や人との対話を一つの計算機がやってきました. 一つの計算機の中ではこれらの装置は計算機の中の線 (コンピュータバスとか入出力線)で接続して 出来るだけ高速になるように短く配線したり接続していたのです.

図1.10 計算機と周辺機器

 所がCPUが安くなりメモリーやハードディスクも安くなりしてくると, 用途用途に合わせた計算機が出て来ました. 液晶を使ったディスプレイで折り畳み可能な携帯PCや 電子手帳と小さくなる方向にも行っていますし, 補助記憶もハードディスクだけでなく CDや光ディスクで書き込み可能なMOと用途に合わせて使え, またそれらがそれぞれ技術革新をしながらよくなっていきます.

 高度な方に目を向けると高速な計算を目指すスーパーコンピュータや, 大容量のデータを蓄えかつ高速に検索出来るデータベースマシンの開発が 進んでいます. スーパーコンピュータはスパコンと呼ばれて, 日米の貿易摩擦の事件でもよく引用されるのでも有名ですね. 検索の機能がなくデータを大量に保存する計算機はファイルサーバと言われますが, なおかつ障害にも強くものは基幹システムでの活躍しています.

 いろいろな計算機があり,それぞれが用途に合わせて個々に動いているのですが, これをネットワークで接続すれば 更に便利になるとは誰でも考える事だと思います. 軍事的な点はさておいて, アメリカでも高速なスーパーコンピュータは数多くはないので, 全米の各大学の研究者がネットワークを使って 高速なスーパーコンピュータにアクセスしたいと思う事は自然だと思います. この場合は高速計算の部分をスパコンが担当し, 人との対話の部分を手元の計算機か端末で分担したと考えてください.

 上記の事は今のインターネットの使い方では 遠隔端末(remote terminal)という使い方になります. しかしこの使い方も計算した結果が散々計算して 数ページや数十ページの文字や数字程度なら問題はないのですが, アニメーションのように刻々しかもリアルタイムで変化するを計算して コンピュータグラフィックとして端末側で出力するのなら, 低速な線で伝送していたのでは全然間に合わない事が分かります.

図1.11 サーバと端末

 手元にある1台の計算機の入出力から演算(計算)やデータの保存までを, 分散させたそれぞれが要求にあった機能を満足する計算機群や周辺機器で 実現させるためにはイーサネットまたはLANと呼ばれる高速な線の出現を 待たなければなりませんでした.


A1.4 ちょっとネットワーク

 あまり数字を上げるのはよくはありませんが, 感覚的に理解してもらうためにちょっとネットワークのスピードを考えてみましょう. 著者の体験的な話で説明します. 1970年後半にミニコンが著者のいる研究室に来ました. まあ無理して教授に頼んだ記憶があります. (今でも,面白そうなものがあると予算も考えず買ってしまうのは, この頃から始まったようです) 当時の入力装置はキーボードとプリンターが一体になったものでした. 印字速度は110bpsだったと思います. bpsはbit per secondの略で1秒あたり1ビットがいくつ送れるかを示す単位です. ビットとはディジタル化した0か1の一つの事です. 8ビット集まると1バイトといってまあ文字1つ分だと思ってください. (漢字は種類が多いので2バイトで1文字です)

 ちょっと計算が変ですが110bpsは1秒間に10文字送れるとします. 1秒間に10文字が送れれば速そうに思えますが, 1行が80文字のプリンターなら1行を印字するのに8秒も掛かってしまいます. 縦25行のディスプレイなら200秒=3分20秒掛かるわけで, 現在のディスプレイの表示速度を知っているものには 「ちょっとまってくれ,どうにかならんか」 と思わず画面に語りかけてしまうでしょうね. しばらくして300bpsでインクジェットの 装置を購入した時は速い(^_^)スピードと音の静けさに驚いたものです.

 このスピードも時代と共に1200bps,2400bps,9600bpsと上がっていきました. 所がこのようにスピードが上がっていくと思っていた所に急に千倍も 速い10MbsのイーサネットまたはLAN(Local Area Network)が出現しました. 9600bpsをほぼ10Kbpsと考えるとK(キロ)の千倍がM(メガ)になります. この千倍のスピードの速さは単に速く送れるというだけでなく 質の変化も生み出したのです.

図1.12 ネットワークのスピードの絵

 その一つは高速なネットワークであれば文字だけでなく 画像や音も高速に送れると言う事です. 絵はさっと現われ,音楽はリアルタイムで鳴る事になります. 何を基準にするかはともかく文字の情報の千倍が静止画や音で, 更にその千倍がテレビ等の動画だと思ってください. もちろん,画像は点の細かさや色の数, 音はその精度と所要時間,動画なら静止画に更に時間が掛けられます. テレビは1秒間に30枚の絵を出して動いているように見せますが 60秒なら1800枚の絵が必要になります.

図1.13 情報の表し方の変化

 9600bpsは感覚的には画面に文字を表示すれば1秒程度で表示出来ると考えると, 人が画面を文字で追いかけるなら9600bpsで十分で, それ以上速いとかえって字を追いかけられません. しかし,このスピードで画像を送ると (電話を9600bpsのモデムにつないでインターネットに接続していると 考えてください)小さな20KB(キロ・バイト)の絵でも20秒かかり, これが200KBだとまたまた3分20秒かかります. 200KBは1,600,000個の0と1からなるデータで非常に大きいように思えますが, A4程度で256色でほどほど見れる程度の画像として取り込めば あっという間にこの程度の大きさになります. 画像や音は実際には圧縮という方法でかなり小さくしています. 動画も動いていない部分と動いている部分に分け, 動いている部分も更に変化は小さいので 変化分だけ記録するような方式を取っています.

 ネットワークのスピードが速くなって注目を浴びたもう一つの事は, A1.4の役割分担で言った各役割をする計算機を高速で結ぶ事によって あたかも一つの計算機のように(この場合は計算機システムの方が表現 としてはよいでしょう)考える事が出来る事です. 高速な計算はスパコンに担当させ,大容量で大事なデータはファイルサーバに蓄え, 人はグラフィカルな表示が出来, 扱いやすい入出力装置を持つ情報端末とも言われる計算機と対話すればよいのです.

図1.14 強力なサーバ達と快適な端末と高速なネットワーク

 このような事は言うのは簡単ですが,実現するには多くの問題があります. まずネットワークは針金ではありませんから2つをつなぐといっても, 相互に接続するためにコネクタや線の数の取り決めをしないといけません. また,流れるデータをどのような形で(電圧で波形のどこで0/1を判断するか) 表現するのか,また2つの計算機を直接接続するだけなら問題はないのですが, 多くの計算機が接続された中でその中から所望の計算機を使う場合には どのようにすればよいのかという問題が考えただけでもあります.

 このような体系をネットワーク・アーキテクチャと言って, 歴史的にはIBMが最初にSNAという名前で体系化しました. しかし,IBMだけが体系化してもIBM以外は接続出来ませんから, OSI(Open Systems Interconnection)と呼ばれる体系が提案されました. しかし,この体系は規則ばかりつくって実際の実現には遅れたので, その間に実現したものを積極的に採り入れていったインターネットが現われ, このインターネットが先程話した役割分担を 持たせた計算機を有機的につなぐネットワークになったのです.

図1.15 ネットワーク・アーキテクチャ

 インターネットそのものの話しはあとでしっかりするとして, この章の最後では,そのように計算機が役割分担をもって接続すると どのようになるかを考えて見ましょう. 具体的な例はこれもインターネットの事例の中でまた話す事にします. それらの例の底を流れている共通した事(メタ)と理解してください. このような先端の事は何が本質なのかは状況や目指す事で違ったり 変化していきますが,とりあえずは著者が大事だと思う事を次に示します.


A1.5 ネットワークとつながってもっと便利になる

 それぞれ役割(機能)をもった計算機がネットワークであたかも話をするように 接続していたとします. その意味では計算機の先にいる人もいれても構いません. 各計算機はそれぞれの機能(例えば高速計算とか)で優れていたとします.

 そこで一つのシステムを作りたいとします. 何も制約がなければ,それぞれの機能をもつ計算機をネットワークを使って うまく使ってそのシステムを実現すればよいでしょう. しかし現実は多くの制約やシステムが解決すべき事が単純ではないので いろいろな事を考えないといけないでしょう.

 しかし,「全ての計算機が有機的に接続していて」という仮定は, 何もないスクラッチから作る事に比べれば(届かないかしれませんが) ゴールが見えているだけに面白いアプローチだと思います.

 もう少し具体的に話をしましょう. サーバ・クライアント・モデルと呼ばれるモデルがあります. これはクライアント(客)が仕事を出し, それをサーバが処理して必要なら結果をクライアントに返します. 先程,役割を持った計算機がネットワーク上にあってと話をしましたが, この役割を持った計算機をサーバと考えればよいのです. 計算をするサーバが計算サーバで, 高速な計算をすれば具体的にスパコンというものになります. 逆にいうとスパコンは優れた計算サーバと考える事が出来, インターネットの始まりの一つと説明した遠隔からスパコンを使うのは 遠隔の端末にいる人(クライアント)が高速な計算サーバを使っている事になります.

 サーバだから大きなシステムという必要はなくて, 例えば仮名漢字変換ソフトを考えてみましょう. 変換ソフトがネットワークの向こうにある場合を考えると, りっぱなサーバになります. 複数のワークステーションがある所では このような仮名漢字変換サーバは当然の事ですが, パソコンではそれぞれのパソコンにFEP(Front End Processor)として 仮名漢字変換ソフトがあるので,それが当然と思っている人には ちょっと分かってもらえないと思います.

 この仮名漢字変換ソフトを和英翻訳ソフトだと考えると分かり易いかも知れません. このソフトが強力だがとても高価なら1つ買って皆で使いたいでしょう. それならネットワークの何処かにおいて, 必要な時だけこの翻訳ソフトのサーバに問い合わせればよいのです.

  もっともこの翻訳サーバは一つでよいものではなく, 医学の文章に強い翻訳サーバとか各分野であったり, また多くの問い合わせが予想されるので 複数のサーバをうまくネットワーク的に配置する必要はあるでしょう.

 ここで注意して欲しいのはサーバというのは 物理的な一つの計算機をさすのではないと言う事です. 強力な計算能力や大容量のメモリーや補助記憶をもつ計算機が 複数のソフトウェアのサーバとして動いていてよいわけです. 実際にはお金の問題もあって, 計算サーバでメイルサーバでニュースサーバで 仮名漢字サーバでWWWサーバでName Serverでとほとんどの研究室のサービス機能を 全部やっている場合もあります.

 以上は主と従のような関係でしたが, 計算機同士が互いに助け合いながらまたは分担して仕事をする場合もあります. 人間でいうと協調作業というのでしょう. 互いが交互にサーバとクライアントを交替しながら協調する事も考えられます. 分担の場合は与えられた仕事が分割できるかが重要な事になります. もちろん,人の親分・子分のように 親分が仕事を分けて子分が分担する場合もあります. 著者の関係している分野では暗号の解読を多くの世界中の計算機で 分担して解いたという話もあります.

 ここではサーバ・クライアントの話と協調の話をしました. この2つを混合したような使い方も当然あります. そこでちょっと引いて考えて見ると, 実はこのネットワークに計算機が接続してサーバになったり クライアントになったり,協調したりする事は, 計算機もネットワークも無かった昔から人類が(高等動物もと言うベキでしょう) 行って来た活動にほかならないのでしょう. そう考えると, 高速計算をして大きなデータを間違えなく忘れなく覚えている計算機と, 高速な誤って伝えないネットワークがあっても 人がその計算機を扱っているのですから, 所詮やることは我々人類がやる事の高速版であったり 大容量版かもしれないという事を常に考えて欲しいと思います. この著者のスタンスはこれからもいろいろな箇所に現われると思います. インターネットで代表される計算機ネットワークは やはりヒューマンネットワークであると著者は考えています.


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