「インターネット概論」の目次

6. 情報システムの構築(後半)

平成11年2月2日0時19分版


最初に(動画:まだ失敗作です)


 情報システムの構築の後半部です. 昨年の講義では届かなかった,ネットワーク機器関係にも触れてみました. すべての節がそうですが,1年間の間にどんどの進化しています. なるべくそれについて行くのが私の仕事の1つですが大変なものがありますね. この1年間で,今回の講義に関係する部分では 自宅がOCNエコノミー接続をして24時間接続になったため, 自宅でドメイン名を取ってサーバ管理をするようになった事が最大の変化です. 1990年ぐらいだと大学が64Kbps接続する事自体が大変だったのに, それが我が家で出来るなんて時代は変わったものです.(いいか悪いかは別にして) それからPHSも64Kbpsサービスを始めました. 私も懲りずにまたモニターなって使っていますし, 大学にも64K対応のアンテナを立ててもらっています. そろそろ動画の時代になってきているだけに嬉しい事です.

 では前振りはこれぐらいにして始めましょう.


6.6 サーバ

 ここから3節はコンピュータ側の話になります. サーバとクライアントの話をそれぞれした後で, 6.8節でダブルサーバ構造である 3 tierモデルについて触れてみる事にします. 3 tierモデルといっても難しい話ではなくて(コンセプトは重要です) ホームページで良く検索している人なら 知らず知らずのうちに利用している考え方です. 検索エンジンはほとんどこの形を取っているはずです.

 サーバと言っても,ハードウェアとしてのサーバ機, そのサーバ機に搭載させるOSの種類, 更にソフトウェアアプリケーションとしてのサーバがあります. ここでは主に最後のネットワークアプリケーションソフトウェアとしての サーバについて話をしますが, 前2者についても軽く最初に触れてみましょう.

 ハードウェアとしてのサーバ機は, OSとして何を選ぶかと言う問題とも関連します. また,あとで話すクライアントのOSがなにであるかも関係する事があります. 私は大阪市立大学のネットワーク部門を担当していますから, その部隊でのサーバ機の選択は,お金があればSUNを買って,OSはSolaris. お金がなければ組立てPCを買ってOSはFreeBSDを入れる事にしています. LinuxではなくてFreeBSDなのは単に慣れているだけですね. 古くからUNIXをやっている人にはFreeBSDの方が入りやすいようです.

 OSもどんどん進化していますし, 他のサーバとの連動やセキュリティ対策が施されている事が大事な事になります. 今だと2000年問題対策がされているかも重要なポイントです. サーバ機やOSにはWindows NT Serverの選択もあります. クライアントがWindows 95/98/NTの場合はよくある事です. ただインターネットとの整合性では,SolarisやFreeBSD/Linuxの方が 技術が枯れている分,安全なOSとして選択しています.

 基本的には,対象とする情報システムが何を目標にしているかでしょう. また管理側からの見方と,ユーザ側からの見方も存在します. 管理側からは管理しやすい,セキュリティ的に強い等の要件が重要です. 逆にユーザからは使いやすい,便利なアプリケーションを使いたい等が ポイントになります. この両者を両方完全に満たすのは難しいので, どのようにバランスを取るかが問題になりますし迷う所です.

 さてサーバアプリケーションですが, ここではインターネット概論なのでインターネットのサーバをまずは考えてみます. インターネットのサーバでは通常は上に書いたサーバ機能のうち

を基本と考えるようです. Name serverの話は講義の中でもそんなにしなかったはずです.

 この機能を1台のコンピュータで行なうのか, 複数のコンピュータで分担させるかはその組織の判断です. ここで言う組織とは広い意味の組織で, 企業なら,企業そのものから,ある課や係といった単位 (大学だと学部とか学科とか研究室)の事です.

 Name serverやMail serverは1つの正サーバ以外に, 副サーバ(複数あっても良い)を設ける事ができます. WWWサーバも検索エンジンのような所は複数のサーバを用意して 同時に多くの人(WWWブラウザ)がアクセスしても応答が速くなるように対応しています. ここでいうサーバはソフトウェア的なサーバ機能ですが, そのサーバ機能を多くのサーバ機で分担させるのか, それとも1台の高速なサーバ機で対応させるのかは 情報システム構築者の腕の見せ所です.

 Mail Serverの場合で企業の場合は一旦企業全体のMail Serverで受けた上で, そのメールを企業内の各Mail Serverに配布する事が多いようです. これはセキュリティ的にも大事な事で,直接, 企業内部のMail Serverをインターネットに晒さない事で アタックを受けないようにしています.

 Mail Serverの場合は複数のサーバを立ち上げて, メールを受ける優先度を設定させる事も大事になります. これは当該のサーバが何らかの理由 (停電とかソフト的にハングアップした等)で止まっていても, 他のMail Serverが動作しているので, とにかくメールは組織内まで届かせる事が出来ます. 一般にメールの発信ではメールを出すサーバが, 送りたいメールが届かないと保持していて(1週間とか2週間) 30分とか1時間(設定による)毎に再送信を試みるので, なるべく受けてやるようにするのがエチケットだと思います.


6.7 クライアント(端末)

 どのようなコンピュータ環境で仕事をするかは, それこそユーザが各自で判断される事なので, この講義ではあまり触れないでおこうと思います.

 それではなんなので私の場合を話しましょう. 私の場合は,クライアントとして Windows 95が動作するパソコンを使っていますが, 主にはUNIXの端末として使っています. 従って,気持ちはUNIX(というよりMuleと呼ばれる環境(メールはMew))となりますが, ユーザインターフェースはUNIX的なキー操作と Windows的なマウス操作と言った方がいいかもしれません.

 このようにしておくと,UNIXとWindowsの両方が使えるので, 両者の長所短所をうまく使えます. Windows系ではバグは多いのですが, WWWのブラウザを始めとしてソフトウェアの流通が早いので, バグやセキュリティホールに配慮しながら使うと便利です.

 なぜMACを使わないかと言う質問の答えは簡単で, Windows系の方がユーザが苦労するので, あえてWindows系を使っていれば, 学内での質問の答えられるだろうと言う管理者的な発想ですから, あまり普通の方にはお勧めできない意見だと思って下さい.

 以上がこの節の昨年度の講義録ですが, 1998年度に入ってWindows 98が出て来たり,iMacが安く売り出されたりで, クライアント機はますます上方向には速くなり, 今までの性能で良ければ安くなっています(速くなって安くなる場合もあります). パソコンもカメラ付きが出て来たりで, それぞれの方の目的に合わせた選択がますます出来るようになってきているようです. 1ユーザとしては,どんどん進化するので, どの時点で買うのかが難しい時代になっているようです. このような傾向は更に続くでしょうね. ここまで速くなり,ハードディスクの容量も多くなったので もう十分ではないかという意見も最近聞くのですが, まだまだマルチメディア(特に動画)を扱ったり, 同時に多くの仕事をさせるには不十分と言えます. 逆に考えればマルチメディア系は使わないとかなら, 今までのパソコンが値下がりしているので,それらを安く買えばいいわけです.


6.8 3 tier モデル

 3 tier モデルと書くとわかりにくそうですが, 3段階モデルと言った方がいいかもしれません. 通常はサーバ・クライアントモデル と呼ばれる関係で,クライアント(ユーザ:端末)がサーバを使って仕事をしますが, この3 tier モデルではサーバを2段構えで構成する事にします. と書くとわかりにくそうですが,client(端末)をNetscape Navigator等のような WWWシステムのブラウザと考え, Front-end serverをWWWサーバまたはホームページと考えると, Back-end serverはデータベースとなります.

 皆さんがyahoo等の検索エンジンでキーワードからホームページを探す場合には, 最初は検索エンジンのホームページをアクセスしているのですが, 「検索」ボタンを押したら,質問(query)がBack-end serverである データベースのサーバに飛びます. ここで大事な点は, ユーザは用意するソフトについてはあまり考慮しなくともいいことです. 基本的にはWWWシステムのブラウザがあれば良くて, ホームページを作成する場合には, 有力なWWWシステムのブラウザの事だけ考えれば良い事になります. もう1つ重要なのはWWWシステムのサーバも 普通に世に出ていて評価されているものを使えばいいだけです. 頑張るのはホームページ作成と,Back-end serverの設計でしょう.

 サーバの立場から考えると, 多くのアクセスがあるホームページには複数のWWWサーバを用意し, データを保存したり,高速に検索するサーバは 高機能なサーバを用意する事で, データの内容の一致性やバックアップのが効率的にはかれる事になります. 今のようにコンピュータの高機能化と廉価性が, ある部分は同時に(高機能で廉価なコンピュータ), ある部分は2つの方向に進化している段階では どのようにサーバ構成を考えるかは,難しいながらも面白い問題です.


6.9 ネットワークとネットワーク機器

 ここではネットワーク機器の話を主にします. SOHOやモバイルでのネットワーク機器はそれぞれの所で扱う事にします. その前に通信の世界をちょっと復習してみましょう. 2.2節の 「いろいろなネットワークを使うインターネット」や 3.2節の 「いろいろな物理ネットワーク」とも重なりあいます.

 まず,通信には無線通信と有線通信があり, 常時接続しているか必要な時だけ接続しているのかの区別があり, 地域的には広域(WAN)なのか敷地内のように限定された所(LAN)なのかの 切り分け方がある事は2.2節で概論的に話しました. それ以外にも通信には分け方があります.

トポロジー

 上に書いた分け方はトポロジーと言ってネットワークの形状を示します. ポイントtoポイント型というのは1対1通信の事で電話のように 1本の線で両方のネットワーク機器が結ばれている事を意味します. 個人対象のプロバイダに電話でアクセスする時に PPP接続という言葉が出ますが,これは point to point protocolの事で 1本の線からなるネットワークの事を指しますから, 相手は固定されている事になります. 相手が固定されているので,相手に対する情報は必要ではありませんし, 1本の線なので積極的に盗聴されないかぎり安全なネットワークと言えます. 電話系のネットワークは端と端との接続だけを考えればすべて1対1になります. 実際には電話網は複雑な網(ネットワーク)になっているので, 必ずしも1本の線ではありません.

 バス型接続というのは1つの線に複数のネットワーク機器や コンピュータのネットワーク部を接続する事です. 3.2.1.1で取り上げた イーサネットでは10Base5や10Base2と言われる接続形態がこれです. このネットワークには複数の装置からデータが送出されますし, 逆に複数の装置が同じ内容のデータを見る事が可能になります. そのように考えると無線も広い意味ではバス型接続と捉えられます. 1つの線(無線では空)を共有するので, 発信装置と受信装置の情報を乗せたデータが流れる事になります. 利点は線に無駄がない事などが上げられます. 逆に短所はポイントtoポイント接続とは逆にセキュリティ的に不安がある点でしょう.

 ループ型は名前の通りネットワーク装置やコンピュータをループ状に接続します. よく使われるのはトークン(token)という切符を考えて, それがループ内を走り回っており,そのトークンを捕まえた装置だけが データを流す事ができます. このトークンを使ったネットワークは,先程話したイーサネットと双壁となる LANネットワークだったのですが,今ではすっかりマイナーになっているようです. このループ型の特徴は,トークンを持った装置だけがデータを流せるため, 交通整理が簡単で目一杯データを流す事が出来ます. 先程のイーサネットでは,1つの線にコンピュータ等がデータを送信するため たまたま同時にデータが送出されると衝突(collision)が送って 再送せねばならず思った通りの速度が出ない事があるからです. FDDIと呼ばれるネットワークも ループ型です.

 形状としては最後にスター型があります. 多くの所で使っている10BaseTと呼ばれるイーサネットはこの形状です. (形状はそうですが,ネットワークとしてはバス型です. しかし,後で述べるスイッチング型だとスター型かな) HUBと呼ばれるネットワーク機器から各装置にそれぞれ線が行きます. HUBから遠くにあっても,装置が固まって置いてあった場合には 線が無駄なような気がしますが, 管理する方からは個別に線を監視すればいいので楽と言えば楽です.

 この節の最後はネットワーク機器です. 以下のネットワーク機器は,OSI7層でいうと1,2,3層に対応します.

 最近はリピータとかブリッジとかは言わずにHUBといういいかたをするようです. 10BaseT用のHUBとか,10BaseTと100BaseTXと自動認識するHUBと言った表現です. そろそろイーサネットも100Mbpsが当り前になりつつあるので, 後者の10BaseTX/100BaseTXのHUBがこれから主流になりそうな気がします. 次に話すSOHO環境は家庭内でLANを張ろうというものですが, 家庭でも各部屋に1台HUBがあるという時代になりそうです. 私の自宅でも食卓の横と,子供部屋の1つにHUBがあって, ピカピカしています.

 ルータはまさにIP層を制御するネットワーク機器です. ルータと言えば高峰の花だったのですが, 最近ではこれもまた次節で出るINSルータ等は一家に一台ルータをとなって来ています. ルータは名前の通り経路を制御する装置です. 経路ですから,片方がイーサネットで,片方がISDNの電話だったり, 128Kbpsの高速デジタル回線だったりします. それらのいろいろな物理的なネットワークのためのボードを複数搭載して, それらのネットワーク間の経路を制御する事になります.

 大阪市大では昨年4月から大阪大学への1.5Mbpsの回線以外に, 商用プロバイダに6Mbpsで接続しました. 大阪市大内部から外に出るパケット(データ)は, CISCO7200という数百万円のルータ装置等が複数あって自動的に パケットの振り分け(学術ネットに行くか商用ネットに行くか)をしてくれます. 先程のINSルータは5万円ぐらいですが,上記のようなルータだと 阿倍野キャンパスの医学部方面(3Mbps)への振り分けもしますので, 阿倍野の1台も含めて4台のルータが(1000万円以上ですね) 学内とインターネットの交通整理をしてくれる事になります.

 さきほどのHUBには普通のHUBと,インテリジェンスHUBと, スイッチングHUBがあります. 普通のHUBは単なる電線が分岐したものだと考えればいいと思います. インテリジェンスHUBはIPアドレスを持っていて, そのHUBを流れるトラフィックの監視等ができます. 各部屋にHUB経由で情報コンセントを引きたいが, 情報コンセントをON/OFFするのを線を引き抜くのではなく, ネットワークで制御したいといった要求にも新しいHUBは対応してくれるそうです. ホテルなどで今まではモデム経由でインターネット接続していた環境が, これからはホテルの各部屋に情報コンセントが来ていて,DHCPサーバが走っているので パソコンのネットワークカード経由で差し込めばすぐインターネットといった 環境になるでしょう. マンションへの売り込みもあるそうです.

 スイッチングの考え方が何もHUBだけにあるのではなくて, ルータにもこの考え方が出て来ています. 3層スイッチとか呼ばれたりしています. また更に高速なネットワークにもスイッチングの概念が持ち込まれています. もともとバス型接続なので,ある1組の通信があると他の通信が出来ないという 欠点を取り除く考え方と言えます. サーバには100BaseTXで接続し,100BaseTX/10BaseTのスイッチングHUBを介して, 複数のパソコンを10BaseTで接続するというのは典型的な サーバ・クライアントの接続と言えます.


6.10 SOHO環境

 SOHOとは Small Office/Home Officeの事で, INSルータやアクセスサーバを売ろうと思っている企業が作った言葉のようです. 勤務形態としては「在宅勤務」や「サテライト・オフィス」が考えられますが, 通信形態としては「必要な時だけ接続する」形だと言う事もできます. そのように言うとモデムで接続するのと同じではないかという質問も来そうですね.

 しかし,SOHO環境と言うと解釈にも依りますが, 私はISDN(またはINS)電話を使って, ネットワーク機器もINSルータと呼ばれる機器で接続する形だと思っています. モデムを使った場合は,必要な時でもソフトウェア的に接続したり切断すれば 同じような機能を持たす事はできます.  

SOHO概念図

 上の図は大阪市大の教職員や学生が 自宅等から電話でアクセスするサービスの概念図です. モデムから電話(アナログ)を使ってアクセスしたり, ISDN電話のデジタル回線を一旦アナログ回線にする TA(Terminal Server)を使ってのアクセスが上部に書いてあります. 下の部分がSOHO的な使い方で, INSルータと呼ばれるネットワーク機器を通してISDN電話を通してアクセスします. (今はアナログ電話でもINSルータ的に使えるネットワーク機器があります)

 SOHOもネットワーク的にはいろいろな見方ができます. まず,(アナログ)電話を使わずにISDN電話を使う利点ですが,

等でしょうか.(最後の機能はアナログ電話でも最近はできます)

 インターネット技術が今でも進歩している中で, このSOHO技術もまさに日進月歩している所と言えます. まずはネットワーク機器の値段ですが, INSルータを取り上げても20万円したものが今は5万円ぐらいになっています. その分だけ売れているとも言えますね.

 電話も(アナログ)電話ではなく デジタル電話であるISDN電話になった事が大きなポイントです. 従来の電話は「音」の世界だったので,モデムのように速度等をあわせる (ネゴシエーションと言います)の必要がありません. また,ISDN回線は本質的に2回線(厳密には3回線)を1本の線で送っているため, 同時に2箇所に(から)接続できますし,場合によっては2回線分の128Kbpsが使えます. 2回線なので電話代は2倍ですが, INSテレホーダイサービスに入っていれば固定料金のまま(のはず)です. ネットワーク機器によっては,トラフィックが増せば自動的に2回線で流れ, トラフィックが減れば1回線になる機能もあります. もっとも,2回線同時に流すサービスは,受けるアクセスサーバにその機能があって, かつ許可していないとできません.

 INSルータの場合は,モデムのように意識的に接続しなくとも トラフィックが生じた時点で自動的に接続してくれます. もちろん,電子メールやWWWブラウザで必要になればPPP接続してくれますが, これはアプリケーションレベルからの接続といえるでしょう. 自動的に接続してくれるので,トラフィックがある時間切れれば切断もしてくれます. この機能は便利なようで不便な所もあります. 最初の問題点は,接続している相手の電話局(同じ地域(MA)か)にもよります. 3分10円(NTTの場合です)の場合には,頻繁に接続・切断を繰り返されると, 接続で課金されるので余計にお金がかかる事もある点です.

 もう1つの問題点はコールバック機能です. コールバック(call back)は,相手に電話を掛けた場合に, 掛けた相手が一旦切断して逆にこちらに電話を掛けて接続してくれる事です. この機能はアクセスサーバのとっては,信用できる電話番号に電話をするので セキュリティ的にも良い機能です. 電話番号は認証機能としてもすぐれた機能です. このコールバック機能は,先ほどINSルータ接続の場合は,切断時に トラフィックが相手方から生じた時に,相手方から電話を掛けて来て 接続が再開されます. なんだいいじゃないかと言われそうですが, 掛ける方がテレホーダイサービスを受けている場合は, せっかく固定料金なのに相手が電話料金を払う事になるので無駄になってしまいます. 少しお金に拘りましたが, 今のようにいろいろな通信手段を個人(家庭)でも使えるようになったので, 1分幾らとか,1時間幾らとか,月幾らかと考える時代になったようです.

 SOHOの項が長くなったので,残りの部分は次項に回しましょう.


6.11 家庭内LAN(家庭内乱?)

 自宅からプロバイダにアクセスする場合を考えてみます. 皆さんは気にしていませんが, このサービスは普通は端末型サービスと言われるものです. PC(端末)をプロバイダにPPP接続すると,プロバイダからIPアドレスを付与されます. もちろん1つだけです. このIPアドレスはグローバルIPアドレスが普通ですから, IPアドレスを付与された時点で,インターネットの仲間入りしています. 世界の数千万台と言われるインターネットに接続されたコンピュータの 仲間入りをします. (だから,アタックされる可能性もあります) ただ,このIPアドレスは一時的なものなので,プロバイダとの接続を切った時に プロバイダに返す事になります.

 一方,自宅やサテライト・オフィス(小さな出張所)では複数 (自宅で複数はまだ一般的ではないですが)のコンピュータがあるので, 端末型接続では1台しか接続できない事になります. 端末型接続ではなくネットワーク間接続(LAN間接続と言います)の場合は, 複数のコンピュータが接続する事が前提なので(SOHO概念図の下の方), IPアドレスが1つという問題はありません.

 最近,この端末型接続の弱点を補う技術がでて来ています. 1つはNAT機能で,貰ったIPアドレスを適当なIPアドレスに変換する機能です. プロバイダから貰ったIPアドレスではなくて, 自分のIPアドレスを使いたい時に使います. 例えば,複数のプロバイダ(商用プロバイダ接続と会社とか)に 接続している場合でも, 自分のコンピュータのIPアドレスを変えなくとも大丈夫です.

 このNAT機能に加えるにIPマスカレード(masquaradeは仮面の意)機能があります. IPマスカレード機能は,複数のIPアドレスを1つのIPアドレスに見せる技術です. この技術の説明は, 簡単に言うと,複数のコンピュータで動いているプログラム(プロセス)を あたかも1つのコンピュータで全てが動いているように見せる技術です. 送り出す時は,1つのIPアドレスに載せて送りだし, 送られて来た時は,どこコンピュータ(IPアドレス)かを覚えているので 最初に送り出したプログラム(プロセス)に送り返してくれます.

 従って,端末型接続であっても,NATとIPマスカレード技術を使うと, あたかもLAN間接続ができます. この項の最初に話したように,LAN間接続のサービスで接続していたり, OCNエコノミーサービスのように,自宅を専用線で24時間接続して, しかもインターネットサービスを受ける場合は 問題なく複数台のコンピュータを自宅でもインターネット環境にする事はできます. しかし,通常のダイアルアップ接続(PPP接続)の場合で端末型でも これらの機能で自宅全体がインターネット環境にできます.

 自宅でLANの配線をする場合は, 10BaseTか10Base2のイーサネットを使う事になります. (10BaseTの配線で100BaseTXが使えます) 前者の10BaseTは,ISDN電話で使う線と同じ8線式(通常の電話は4線式)で, ISDNとは使う端子番号が違うだけです.(LANもISDNも8線のうち4線を使います) インターネットが好きな方で, 自宅を新築される方で自宅をLAN(インターネット)環境にする人が増えてきました. 新築でなくとも配線をする事は可能なようです. 私も自宅のマンションの部屋をLAN環境にしています. 居間にネットワーク機器のコーナがあり, 2つの子供部屋に10BaseTの線が延びています.

 家庭の情報環境構築の1つの手段が今 話したようなインターネット技術によるものです. しかし,これが一般的になるかはまだ分かりません. 電力線(100Vのコンセント群)を使って情報を送ろうという試みは 以前から行なわれています. (CATVのインターネット版を使う話とか,電話線のADSL技術の話もあります) しかし,今までの講義で話したように, LANのネットワークを使うか電力線のネットワークを使うかは, 上位のプロトコルをTCP/IPにすれば本質ではなくなってきます. どちらでもできるという意味です. 電力線の場合は,トラブルが隣近所まで影響する事があるので, 実際の運用に供するには, まだ幾つかのハードルを越えないといけないような気がします.

 しかし,インターネットもここまで進むと, 家電インターネットの話がでて来ないと嘘ですね. 数年前から私は冷蔵庫をインターネットに接続する事を某冷蔵庫メーカにいる 同期生に話していたり某電器の方に「やってみたら」と言っていたのですが, 本当に試作ながら製品が出て来て驚いています. 話としては次のようになるのでしょう. 買ったものは必ずバーコード入りなので入庫や出庫の際にバーコード・リーダを 通せば在庫管理ができ,近所のスーパーとインターネット的に接続していれば 1週間の献立を考えながら,足りないものとその安売りの日を教えてくれるでしょう. また注文すれば自宅まで配達してくれると言った感じです.


6.12 モバイル・コンピューティング

 モバイル・コンピューティングとは動きながら(移動) コンピュータを使うというような意味です. そのためにはまず コンピュータが持ち運びに便利なような形や重さでないといけません. ここでは,コンピュータはそのようなものであると仮定したうえで, 通信的な話を取り上げましょう.

 移動しながらなので無線を使うのが普通ですが, 場合によっては最寄りの公衆電話に携帯端末を繋ぐ事もあるでしょう. そのような場合を除くと (私の場合は寄った先の情報コンセントに10BaseTのイーサネットを差し込む事もある) 通常は無線を使います.

 無線をインターネットで使う場合には以下の3つの形態があります.

固定型や半固定型も興味のある所ですが,モバイル・コンピューティングの項なので 移動型を考えます.前振りが長かったのですが要するに で通信する事を考えてみます.

 (デジタル)携帯電話では,9600bpsの通信ができます. (cdma-oneだと14.4Kbps) この速度は2昔前の通信速度ともう言えるのではないでしょうか. しかし,携帯電話は日本の中でかなりの部分で届くようになっているので, 私の感覚では「何処でも」いんたーねっとが出来る便利な通信手段と言えます. 新幹線の中の場合は「トンネルでは使えない」問題はありますが, 使えるので結構便利に使っています. 問題は電話料金ですね. 最近は携帯電話が普及してきたため,細かくアンテナが立てられて, 逆に新幹線等は捉えられにくくなったと,関係者に聞かされました.

 一方,PHS電話は1997年4月から32Kデータ通信サービスを始めました. デジタルの32Kbpsのデータ通信サービスをPIAFS形式で行なうものです. 32Kのうちヘッダー部があるので,実際のデータ部は29.2Kになるため, 29.2Kbpsという説明も出来ます. 私のサービス開始時からモニターになっており, いろいろな場所で使ってみました. 問題はPHS電話自体が公衆電話のコードレス電話部といった感覚なので, 電話の届かない所が多くて「何処でも」が欲しい人には辛いでしょう. 市内の料金が公衆電話並なのは嬉しいので,私の場合は常に携帯電話用と PHS用のカードを持参していて,TPOを考えながら使い分けをしています. (逆に100KM以上離れると携帯電話より高い) PHSの場合は電波状態が不安定な時もあるし, 窓際では電波が届いても室内では使えない事があるので, 電波増幅中継装置を持ち歩かないといけないとは思っています. こう考えると鞄には沢山のカードやコードを入れておかないといけないので まだまだですね.

 しかし,数年前には併せて5Kg程度の携帯パソコンとモデムを 東京出張のたびに運んだ事を考えると隔世の感がしますが, まだまだ携帯パソコンも通信手段も進歩が見込まれるので楽しみです. 特にPHS電話は構内で使うと,構内利用では料金が無料なので 新しい使い方ができるものと思っています.

 PHSだけでなくプロバイダもPHSと組んで接続サービスをしたりするので, これからモバイルで通信するには複数の手段があって困る状況になってきました. 携帯電話やPHSのような第1種通信事業者と, 第2種の通信事業者であるプロバイダが相互乗り入れしたサービスや, 第1種の通信事業者自体が電話にメール機能を持たせはじめています. 最後の電話にインターネットにも使えるメール機能を持たす場合は, 電話番号をアドレスに使うので,親しい人にだけ送るとか, 転送機能を使って知らせするのは一般的な文字表現のアドレスに するとかの工夫が必要でしょう.

 PHSはNTTパーソナル(現在はNTTドコモ)が 64Kbpsのサービスを試験的に始めました. 32Kbpsが64Kbpsになってもあまり変わらないのではという声もあるのですが, 私は少なくとも2つの点で画期的だと思います. 1つは最近のメール環境はPOP機能を使って一括して取り込んだり送信したり するのがSOHOやモバイルではあたりまえになってきました. 電話代がもったいないと言う考え方です. この時には32Kbpsが64Kbpsになるのは正に時間が半分になるだけに やったぜという気持ちでしょう. もう1つはモバイルで動画を受ける事が出来て(32Kbpsでも大体OK), 64Kbpsだと音声以外に動画部もそこそこになるのではと期待できるからです. 例えば今一番便利なREAL playerだと 20Kbpsのストリームで流しているのが多いのですが, これだと音声部を10Kbps弱で流すと残るは10Kbpsなので 動画部がぱらぱらしたりぼやけた映像しか出ません. ところが64Kbpsぐらいだと,音声は音楽でなければ10Kbpsぐらいで十分なので 残りの50Kbps程度が絵に使える事になります. せっかく64Kbpsもあるのなら,目一杯使えるサービスを使わないといやですしね.


Name Server

 フルドメイン名(mediasv.media.osaka-cu.ac.jpのような)に対応する IPアドレスを返したり,逆にIPアドレスに対応するフルドメイン名に返します. 前者を「正引き」,後者を「逆引き」と言います. Name Serverは問い合わせを受けると, どんどん上位のName Serverに問い合わせをしていきます. 上位の言うのは,mediasv.media.osaka-cu.ac.jpの場合なら

の順で上位になります. 上の場合なら,最初の2つは大阪市大の中のName Serverが責任をもって (必ずしもそうでなくても構いませんが)問い合わせに対する返事をします. この責任をもつName ServerをPrimary Name Serverと言います. インターネットであれ,組織内のイントラネットであれ, あるドメインを構成する場合には必要なサーバです.

 最後の「.」はインターネットそのものを指します. 現在,10個ぐらいのName Serverがこの役目を受け持って 問い合わせに対する負荷の分担をしています.


ISDNとINS

 ISDNとは(Integrated Service Digital Networks)の事です. 国際的に通用する名前だと思ってください. それに対してINSはNTT的な呼び方で,INS64ネットとかの表現をします. INS64ネットを引くと,64Kbpsが2本と16Kbpsが1本の線を引いた事と同じになります. ISN1500ネットというのもあって, このネットの場合は64Kbpsが23本と16Kbpsが1本の線が1本の光ファイバの中に 入って届きます.


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