「インターネット概論」の目次

4. ネットワーク・アプリケーション(2)

平成9年9月27日16時34分版

 一応,9月の講義の分が出来ました. まだまだいいたりない事があったり, 図を加えたいとかあるのですが, 完成とします.


4.2.6 電子メールの拡張:バイナリファイルの圧縮・符号化

 インターネットにおける電子メールは 図4-2のような形をしていると言いました. 電子メールでは表示文字しか扱えませんので,ソフトウェアや画像は送れません. このようなソフトウェアや画像(静止画,動画)や音声はバイナリ(binary)と 言われる0と1の集まりで表されるので, 見える記号(文字)に符号化して送ります. また大きさも大きいので,ついでに圧縮したうえで符号化して送る事もあります.

 このような符号化で有名なのは,UNIXでは「uuencode」であり, MACでは「BinHEX」と呼ばれるものです. このような符号化された形式を持つ場合は, ある決まりを持つ行から始まって,対応する決まりを持つ行までに 符号化されたものが入って相手に送られます.

 そのような電子メールを受け取った方のメールのソフト(メーラ)は, 符号化や圧縮方に対応していれば無事取り込む事が出来るわけです. また.無事戻された(復号化された)ファイルに,例えば

dog.gif
とあれば,接尾の拡張子の「gif」からGIF形式の静止画として解釈して, メーラの中で(または適当なアプリケーションを立ち上げて) 画像を表示します.

4.2.7 電子メールの拡張:MIME

 前項で,電子メールで扱えるのは,表示文字だと言いましたが, 実際には,US-ASCIIと呼ばれるものに限ります. そのために出て来た考え方がMIME(Multipurpose Internet Mail Extensions)です. 日本ではniftyserve.or.jpがインターネットとの電子メールを交換した時に, 発信人等でどうしても日本語処理が必要になり, ちょうどインターネット標準として提案されたMIMEを使ったと聞いています.

 このMIMEは,US-ASCII以外の文字列や,画像,音声等のマルチメディアも 扱えるようにしています.そのために,昨月に話したヘッダーのフィールド以外に 以下のようなフィールドがあります.

があります.

 この講座ではこれ以上,詳しい話しはしませんが,この各フィールドには 送信されたもの

に応じて記述されていると考えてもらえばいいと思います. ただ問題は皆のメーラが,このMIMEを扱えればいいのですが (またアプリケーションに対応していればいいのですが), このインターネット講座の受講生のメーリングリストのように 広くインターネットに参加者があるメーリングリストでは, ある種の制約は設けざるを得ないのが実情です.


4.3 インターネットニュース

メーリングリストが登録された特定の参加者だけの電子メールの流れだとしたら, 電子ニュースシステムはインターネットに参加している人全てに流れるニュースです. 対象とする人がメーリングリストでは中で閉じており, それともニュースのようにインターネットの中で開いているかだけの違いで, 内容そのものについてはメーリングリストもニュースも変わりません. したがって,4.2.5のメーリングリストで述べた事で ニュースにも当てはまる事項はここでは重複するので取り上げません.

4.3.1 インターネットニュース

 ニュースの1つの投稿されたものを記事と言う事にします. パソコン通信の電子掲示盤(BBS)では通常この記事は1箇所に集められて, パソ通のユーザはこの記事を読む事になります.

 それに対してインターネットのニュースでは, ニュースサーバとなるコンピュータが分散しているので, ユーザは所属する組織や参加するプロバイダーのニュースサーバに対して 記事を投稿し,記事を読む事になります.

 各ニュースサーバは互いに自分の持っている記事を交換して, 時間差はありますが,互いに同じような記事をサーバの中に蓄えています. 記事には配布する範囲(学内だけとか日本だけとか)や 消去(expire)して欲しい日付がヘッダー情報として書けます. また各ニュースサーバもニュースを送ってもらう(交換する)ニュースサーバに 送って欲しいニュースグループを指定できます.

 ニュースグループの主なものは以下の通りです.

 上記はトップのニュースグループですが,更に のように下位のニュースグループも順次作成できます. 参考のために 大阪市大に届いたある日の記事の数とBYTE数を示します. 大阪市大では大阪大学から電子ニュースをすべて届けてもらっていますが, 大体1日に300MByte程度が届きます. 今,インターネットを流れるニュースの総量は数GByteと聞いた事があります. ニュースグループに商用プロバイダのIIJが運用する tnnというトップニュースグループがありますが,ここの
tnn.netnews.stats
のニュースグループには1日1GByte以上流れ込んでいるのが出ています.

 上に挙げたのはインターネットを流れるニュースグループですが, 組織の中だけを流れるローカルなニュースグループも作成できて, 全学のニュースグループや学部毎のニュースグループも作成可能です.

 電子メールには一般にメールソフト(メーラ)と呼ばれる 電子メールを扱うソフトがあるのですが, 電子ニュースにも同じようにニュースを扱うソフトがあります.

 私のようにUNIX文化に親しんでいる人は大体EmacsまたはMuleの上にある gnusと呼ばれるニュースリーダを使っているようです. このようなニュースリーダはMACにもWindowsにもありますので, ユーザの好みのシステム(UNIX,MAC,Windows)にある 便利なツールを使われればいいでしょう.

 また後で話すWWWブラウザにもメールやニュースを扱う機能があるので, ニュースに関してはそれを使う事もできます.

4.3.2 インターネットニュースの利用技術

WWWのシステムが出来るまでは多くの人に取っての情報共有の手段は メーリングリストであったり,電子ニュースシステムでした. WWWシステムが出来た事によって情報手段が更に1つ出来たように思います. その意味では電子ニュースシステムは
不特定の多数が自由に興味に合わせて流れる情報を共有する
システムだと思います.

 電子ニュースとしての長所は興味に合わせて ニュースグループと言う形で情報が取り込める事です. WWWシステムの場合はまだ自分で探さないといけません. 「流れる情報」という部分はWWWシステムと好対象でしょう.

 WWWシステムの場合はサーバ側が情報を置き,更新・修正をし,削除します. それに対して電子ニュースでは記事が流れ出せば,各ニュースサーバの方針で ニュースグループを取り込んで適当な時期に記事を廃棄します. 末端のユーザは興味に合わせてニュースグループや記事を取捨選択し, 必要なら保存します. このあたりをうまく考えて情報を得るのでしょうね.

 ニュースグループは計算機に対する情報などの専門的な話題を議論するものと, 遊びの感覚でスポーツや趣味等の同好の志の間で情報を交換するものがあります. 私は前者を「みんながコンサルタント」と名付け, 後者は「仕事の合間の息抜き」と理解しています.

 前者の場合はある質問や情報に対して解説や説明を行い 話の流れ(スレッド)が進行するものです. 後者の場合は情報交換や「わいわいがやがや言う場」と考えればいいでしょう.

 「みんながコンサルタント」にも「にわか専門家」 もしくは「S/N比問題」があります. S/N比とは通信の言葉で信号(Signal)と騒音(Noise)の比の事で 早く言うとどこまで信じていいのかという問題です. ニュースグループでの記事の投稿は自由なので ユーザが投稿者のアドレスを見て判断するしかないでしょう.

 インターネットには常に新しい人が参加して来ます. そこでニュースにいろいろな質問をします. 記事を書いて質問する人には新鮮な質問でも, いつもそのニュースグループを読んでいる人には「またか」という気分になります. そのため,FAQ集と呼ばれるファイルが作成されて 何処かの匿名ファイルサーバ(4.4.2参照)に置いてあったり, 定期的にそのニュースグループに流されているようです. FAQとはFrequently Asked Questionの事です.インターネット全般に渡って そうですが,電子ニュースでもいろいろな人がシステムを良くするために ノウハウを積み上げているのがわかります.

 ニュースは興味のあるニュースグループを選んで, また必要なスレッドがあれば良く読んで場合によっては保存し, そうでなければ流し読みするのが良いでしょう. 後で気づいてもその記事が廃棄されている時があります. プログラムのソースプログラムや実行形の場合は やはり保存している匿名のファイルサーバもあるのでそれにあたれば良いでしょう.

 もし技術的に分からない事があって,近くに質問できる人がいないとか, 皆が知らない事は度胸を決めて適当なニュースグループに質問するのが良いでしょう. この場合はローカルのニュースグループで漢字コードが適正であるか等を 管理者に一度見てもらった上で投稿するのが迷惑を掛けなくていいでしょう. 私も以前はシステムの立ち上げなどで困った時に ニュースに投稿して,3ヵ月間悩んだ事を 半日で教えてもらった事があります.

 (現在はテーマ毎に専門家をヒューマンネットワークで親友にしているので 電子メイルで直接聞くか,飲み屋で聞く事が多いですが! もっとも逆に相手から聞かれる事もあって,このあたりはGive and Takeです) 先程述べたFAQ集の存在も確認した方が良いでしょう.

 電子ニュースに対する参考書として「fjの歩き方」を 参考文献に加えておきました.


4.4 その他の便利なツール

 10月と11月の講義でWWWシステムやマルチメディアツールの話をしますが, ここではそれ以外の代表的な便利なツールである 遠隔端末:telnetとファイル転送:ftpについて簡単に触れてみたいと思います.

 ここではUNIXでのコマンド入力ベースの説明を行いますが, WWWのNetscapeのようなブラウザーや, WindowsやMACでも同じ機能をより簡単にグラフィカルに行うソフトウェアがあったり, 作れたりします. それらはすべて裏でキャラクターベースの仕組みを使っていると理解してください. 難しい,または覚えにくい命令に名前等を隠して,使いやすいGUIをかぶせている (薬を飲むのにオブラートで包んだり,糖衣錠にする) と考えればいいでしょう.


4.4.1 遠隔端末

 遠隔端末とはネットワークで常に接続された他の計算機をサーバとして使い, ユーザは自分の計算機がそのサーバの端末になる事です. 英語でもremote terminalと言います.

 相手の計算機にログインして使用するので, 相手の計算機にアカウントがなければなりません. インターネットでは一般的には,

telnet baa-machine.foo.ac.jp

とbaa-machine.foo.ac.jpの名前のマシンにログインします(セッションを張る と言って構いません).各計算機にはIPアドレスが付与されているので,直接

telnet xx.yy.zz.tt (xx.yy.zz.ttはIPアドレス)

としても構いません.仕組みとして話すと,

telnet baa-machine.foo.ac.jp

とすると,各組織にあるName Serverと言われるサーバ(ソフトウェアです)が 上位にあるName Serverと連動して,baa-machine.foo.ac.jpのIPアドレスを 調べてくれます.この Name ServerはUNIX系やWindows NTのようなサーバで 稼働しており,Windows 95やMAC等の端末系からはしかるべくサーバ機の Name serverに問い合わせに行く事になります. ホームページの検索でも,このName Serverの機能を使います.

telnetで相手のマシンと接続したら,後は通常の計算機に入る手順と同じです から

 login: nakano
 passwd: xxxxxxxx

と入力すればアカウントとパスワードを間違わなければログインできます.

遠隔端末の良い所は,サーバの計算機のソフトウェアを活用出来ることです. 相手の計算機がOPACと呼ばれる図書館の検索システムを持っている場合には 図書の検索が出来ます.OPACは開かれたソフトウェアであることが多いので, 誰でも入れる場合がほとんどです.世界には多くのOPACサイトがあるので,本 や雑誌等から情報を仕入れて便利に使うといいでしょう. 但し,この図書検索のOPACも現在はほとんどがホームページから検索出来る ようになっています.

 私は最近では海外からのインターネットの経路を調べるために, 海外にある誰でも入れる経路制御が調べられるコンピュータに ログインして経路を調べています.

他の組織や所属の人と共同作業する場合にもこの遠隔端末は便利です. 海外の研究者と共同研究するために互いのマシンにアカウントを用意して, 自由に互いの研究成果を見ながらネットワークや実際に会って議論をすすめています.

この遠隔端末の欠点の1つはネットワーク上をパスワードが流れることです. これも仕掛け的にはパスワードを暗号化する方向で考えられています. 管理者としては,このような遠隔端末を使っているユーザのパスワードを 定期的に変更してもらったり, 場合によっては使い捨てのパスワード(One time password)の システムを使えば良いでしょう.


4.4.2 ファイル転送(ftp)

ファイル転送のプログラムを

ftp(file transfer program)

といいます.同じように,ファイル転送のプロトコルも

ftp(file transfer protocol)

といいます. ファイルを相手の計算機に送りたかったり,受信したい時に使うソフトウェアです. MACにはFETCHという便利なファイル転送のプログラムがありますが, これはftpを裏で行いながら,操作の上ではMACライクな操作が出来ます. Window 95にも同じようなソフトが幾つかあります. 私もPCで作成した文書等を転送するのに使っています.

通常は相手の計算機にもアカウントがあって, ログイン出来る事が必要条件になりますが, 遠隔端末のOPACでも話したような誰でもがファイルを送受信 (ほとんどが受信だけですが)アカウントが用意されている場合があります. このような仕組みはanonymous ftp(匿名ftp)と呼ばれています. この匿名ftpが用意してある場合はユーザ名を

ftp

または

anonymous

としてログインすると,GUESTとして入る事ができます. パスワードが要求されますが,これは相手の計算機に対するエチケットとして, ユーザの電子メイルアドレスを入力します. ただし,ftpサーバによっては正しく管理された所からしか アクセス出来ないサーバもあります. これはホームページのアクセスでも時おりあります. パスワードの入力は通常画面には 表示されませんので注意して入力してください. ユーザからは分かりませんが,相手の計算機では誰から匿名ftpのアクセスがあり, どのファイルを送信したかを記録しています.

パソコンで作成したデータをワークステーションに転送したり, PCやMACで作成した画像ファイルを送ったり, 世界中にあるデータを取り込んだりと, ユーザの仕事の内容に応じて使えばいいでしょう. 各計算機には得意な分野や応用がありますし, ユーザも好みの計算機があるのでうまくネットワークを作っておけば 簡単な手順でファイルの転送ができます.

ファイル転送はWWWのブラウザーでも

ftp://ftp.foo.ac.jp

のような形で使えます.この場合はほとんどがマウス等のポインティング装置の 操作だけで,かつ文章等は読めるので便利です.

 最近ではホームページをWindows 95等で作成して, 出来たと思ったら, WWWサーバの稼働しているコンピュータにファイル転送する事が 多くなっているようです. この場合もホームページ作成用の使いやすいソフトはPC系に多いので, それぞれの便利なコンピュータ(作成はPC,サーバはUNIX)を使う例になっています. 大阪市大の幾つかの部局のホームページはそのような手で作成されており, 担当の方には

という注意をしています.


[ノート]

IPアドレスからホスト名を調べる

 インターネットを通してアクセスする場合は, IPアドレスが相手のサーバに渡されます. この時,チェックが厳しいサーバでは, IPアドレスからドメイン名やホスト名が分からないとアクセスを拒否する事があります.


目次に戻る