「インターネット概論」の目次

4. ネットワーク・アプリケーション(1)

平成9年9月27日16時44分版

 これから4ヵ月をかけてネットワーク・アプリケーションの話をします. いままでは第1回目をのぞけば,比較的身近でない話が多いのでついて行くのが 大変だったと思いますが,この回以降は身近なだけに理解が早いと思います. と言っても3回目と4回目(一部は補講になるはず)のTCP/IPまわりがポイントに なるところも多いので,うまくリンクが張れるようにしようと思っています.

 ネットワーク・アプリケーションはうまく4回の講義の切り目をいれたいので,

  1. 電子メール+その他のWWW以外のアプリケーション
  2. WWWシステムとマルチメディア系のアプリケーション
のようにする予定です. とは言っても分量は多いので,一部は番外の項にする可能性があるかもしれません. (と予防線を張っておこう)

4.1 ネットワーク・アプリケーション

 この章ではインターネットで使うツール(道具)について考えてみます。 ここでは他にもツールはあるのですが代表的なツールである を主に取り上げます。

 大事な点は図4.1の表現のようにツールに対する基本的な事と その応用の多様性でしょう. 図では基本的な部分が「アプリケーション層」で, その応用を「利用層」としています. 前回までは図3-3のように, どちらかと言えば運ぶ部分であるキャリアを対象にしてきたのですが, 今回からはその上物のコンテンツを扱うと考えてもらってもいいですね. そのコンテンツの基礎と応用とでも言うのでしょうか.

 例えば電子メールを取っても、電子メールとは何かと言う事と基本的な使い方と、 その電子メールを使って回覧やメーリングリスト的な 使い方をするというような事です。 後者を私は利用技術と言っています。 前者は「仕組み」と「基本技術」とでもいいましょう. ここでは電子メールとメーリングリストを前半の話(8月と9月)とし, WWWについては後半(10月と11月)で触れる事にします. 残りの便利なツールについても講義の合間にうまく入るように取り上げます。

 全体を通して言える事は このようなツールは使い方のノウハウが溜ってきたので 非常に簡単に使えるようになってきた事です。 基本的にはワープロが操作出来る程度の技術があれば使えます. もっと極端に言うと読むだけならキーボードすら要らないといってもいいでしょう。 その例はWWWサーバを見るソフトウェア(WWWブラウザといいます)でしょう。 あなたの基本的なツールが操作が難しければ管理者の選択がまずいのか、 または変な営業に引っかかって変なものを買わされたのかも知れません。

 もう1ついえる事はツールの利用方法も インターネットの商用利用可能に伴っていろいろな分野で工夫されてきた事です。 これも各基本的なツールの利用技術の中で具体的に取り上げてみます。 この講座の受講生は それぞれの分野でこのインターネットを活用されようと思っておられるでしょうが、 是非ここでの事例を自分に関係する分野で言葉を変えて適用してみて、 更にその分野特有の事やまた自分のもつノウハウをうまく交えて 活用してみてください。 大事な点はインターネットも電子メディアも万能ではなく 良い点と悪い点を持っており、良い点は生かし悪い点は別の方法で(例えば 直接会って話すとか)補えば良いでしょう。

 歴史的に考えると,このようなネットワーク・アプリケーションも 最初はテキストベースなものでした. 電子メールにしても

mail foo@baa.co.jp

と入力して,そのあとから文章を作成したり, 適当なワープロで文書ファイル(以下の例ではlove.letterファイル)を作成してから

mail foo@baa.co.jp < love.letter

のようにコマンド(命令)を入力してメールを送っていました.

 それが今ではGUI(Graphical User Interface)の皮を被っているので, 表面上は非常に使いやすくなっています. しかしやっている中身はそれほど変わってはいません. そのあたりも話していきたいと思っています.


4.2 電子メール

4.2.1 電子メールとは

インターネットにおける電子メールは以下のような形をしています。

上の部分はヘッダーと言われていて封筒の外に書いてある事だと思ってください。 宛先や発信人や中身のまとめなどが書いてあります。 最近では画像や音声などのマルチメディア対応になっているので, 中身の形式や処理の仕方が書いてあります.このあたりは次回に話します. 下の部分は本文ですね。 最近では文字だけではなくて絵や音をディジタル・データとして表して 文字に変換して送ったり、 本文を暗号化して送れるようになっています。 ここでは文字だけの場合で話を進めます。

 電子メールをやりとりするには電子メールのアドレスが必要になります。 電子メールアドレスは2.3.1章で述べたドメイン表記

med.osaka-cu.ac.jp

の前に"@"の記号(アット・マークといいます)を入れて表現します。私の場合は

nakano@media.osaka-cu.ac.jp

がインターネットにおける私のアドレスになります。 このアドレスで世界中から電子メールが届きますし、 私が電子メールを誰かに書けば(例えば熊さんとします)、 熊さんに届いた電子メールには私のアドレスが書いてありますから、 返事書こうと熊さんがすると大体の電子メールを扱うソフトウェアでは 自動的に私宛の返信の電子メールが書けます。


4.2.2 電子メールの仕組み

 出された電子メールは組織の中のネットワークを介してインターネットに送り 出されて宛先が間違ってなかったり、 相手のメールのサービスが止まってなければ無事に届きます。 サービスが止まっていても設定にもよりますが 大体1週間以内にサービスが始まれば届きます。 ユーザからのメールを集めたり,メールをユーザに渡したり, メールを相手に配送したりするソフトウェアをメールサーバと言います. それに対してユーザがメールを扱うソフトウェアをメールソフトと言いましょう. 実際にはサーバの方をMTA(Mail Transfer Agent)と言い, メールソフトをMUA(Mail User Agent)と言います. この関係は 図3.2の一番上で表現しています.

 どのメールサーバに電子メールが留まっているかは、 自分や相手の組織のネットワーク管理者や インターネット上のプロバイダーの設定によります。 ユーザが送ったメール・サーバから 相手のメール・サーバに向かってメールは送られるのですが, 実際にはMX(Mail eXchange)の仕組みでメールは転送されます. 例えば大阪市大の経済学部に送りたいとしましょう. 組織内の設定にもよりますが大学の場合には直接,相手も送られる事が多いのです. 企業の場合は一旦, 企業のメール・サーバで溜ってから実際の部署に送られる事が多いようです. 大阪市大の場合は全学のメール・サーバが2番目のMXサーバに指定されているので, 1番目のMXサーバである経済学部のメール・サーバが停電等で落ちていれば, 2番目のMXサーバが一旦経済学部宛のメールを受け取っておきます. それで経済学部のメール・サーバが立ち上がれば (それまで30分とか1時間単位で送る努力をします)間違いなくメールを送ります.

 電子メールがメール・サーバに留まっていても 商用のプロバイダーは通信事業者なので秘密の守秘義務がありますから 内容が洩れる心配はいりません. ただ,インターネットのプロバイダーはトラフィックを運ぶサービスをしており, 電子メールが確実に届く保証は通常はしていません. 確実に着いたかどうかは相手から返事を貰う事で確認して方がいいでしょう. 相手の計算機に届いても相手が読むかどうかは相手の判断であり, 広い意味での電子メールのシステムに人が含まれている限りは これはしかたがない事です.


4.2.3 電子メールの基本操作

 電子メールを扱うソフトウェアをメールソフトと呼ぶことにします. このメールソフトにはそれこそ多くの物があります. ワープロが出来る程度の人が扱えるものから, UNIXと言われるソフトウェア上で文字ベースながら簡単なキー操作だけで (それを覚えるのが大変と言う声もあるが,一旦覚えるとキーに統合性があるので楽) 扱える物まであります.

 MACやWindows等で電子メールを扱う場合には EudoraやAL-mailのように手軽に入手できる物もあり, また商品化されたものは比較的安価に買えます. 最近の傾向としては,作成したファイル (ワープロで作った文書,表計算ソフトで作成したデータやグラフ, お絵書きソフトで作った絵,録音再生ソフトで作った音声や音楽,更にはムービ) のアイコンを電子メールに張るだけで送れるようになっています. こう考えれば電子メールのための専用のワープロを考える必要はなくて, 普段使っているソフトウェアで作成したデータがあれば十分です. ただ問題はまだあって受け取る相手が送られたデータを処理出来る環境でないと 送られたデータが読めない事が出て来ます. それも徐々にですがデータの形の標準化(複数になると思います)や, メールソフトが適当にデータを変換してくれるでしょう. あまり売れてない独自の仕様のソフトウェアを使わない事が肝要でしょう.

 さて,基本操作といいながら長々と前書きを書いてしまいました. これは基本操作と言ってもメールソフトによって操作がまちまちなので 一概に説明出来ないからです. 電子メールでは基本的に

の2つがあれば送れます. これに, が敢えて付けようとすれば出来ます.特にSubject欄は相手が注目してくれるので なるべく簡明に書いた方が良いでしょう.

letter

とあるより,

love letter

の方が良く分かります.これらの本文以外の項目はヘッダー部という所に実際には 書かれます.

等がこのヘッダーには書かれますが, From:やDate:はメールソフトが自動的に書いてくれます. メールソフトは上記以外にも電子メールが届かなかった場合の 戻り先アドレス等をつけます. また届く電子メールには発信された計算機から 途中経由した計算機や時間等の情報もついています.

 しかし管理者でないかぎりは必要な情報は 「誰から」「どのようなテーマの」「本文」が分かればいいので (何時発信されたかも必要な時のあります), それをなるべく扱いやすくしたり見やすくするメールソフトが便利です.

 あと電子メールのアドレスを覚えさせる住所録のような仕掛けも必要です. 著者の場合はUNIXを使っているので別名(alias)の仕組みを使って,「どこそこの」 「誰」というルールを自分で作っているので,例えばPFUの熊さんなら

pfubear

とTo:の欄に書くだけでメールソフトが自動的に 正式の電子メールアドレスに展開して送ってくれます. もちろん,このような住所録(私の場合は別名ファイル)を適時作成して 更新しておかないといけません.

 送られて来た電子メールの返事の場合にはメールソフトに返信モードがあるので, それを利用すれば自動的に送り先やSubject欄を作ってくれます. 賢いメールソフトなら送られて来た本文を引用してくれます.

 電子メールが多く来るようになると送られて来る人別とか テーマ別に適当な所に振り分けないと整理がつかなくなります. メールソフトや使う計算機のシステムにもよりますが, ここでは振り分ける所を「フォルダー」と呼びます. 通常のメールソフトでは電子メールを整理して保存したり, また参照したりするために,このフォルダーを扱える操作があります. この操作を如何に扱うかは次に述べる利用技術の所で述べましょう.


4.2.4 電子メールの利用技術

電子メールも次に述べるメーリングになると 今の言葉で言う所のグループウェアの道具になります. ここではメーリングリストの話を次にするとの前提のもとでの 電子メールの利用技術について考えて見ましょう.

 付録A1で述べたように, 電子メールは計算機通信の特質を説明するのにもってこいのツールです. 電話と違って相手が居なくとも届きますし, 受け取った相手は自分の都合に合わせてその電子メールを処理できます. 忙しければ後から処理すればいいし,時間があれば即座に処理してもいいでしょう. 発信者も相手から即座に応答があれば対応可能だなと思って, そこからお話しのセッションが始める事ができます. このお話しのセッションは簡単なら電子メールでもいいし, 改めて電話を使ってもいいし,これからの技術ならテレビ会話を始めてもいいでしょう.

 電子メールで会話を継続させる場合には, その会話は計算機上で記録に残しやすいので,あとから見直す事も出来ます. 私の場合は同時に複数の仕事をしている事が多いので, 同時に仕事が処理できてなかなか便利だと思っています. これもインターネットで常時接続している環境だから出来る事でしょう. インターネットがスピードや距離だけでなく仕事の質を変えると言われるのも このあたりにあるのでしょう.

 返事の電子メールで引用の仕方を工夫すると, 今までの話の流れが分かりやすくなります. 引用を工夫すると言っても最近の優れたメールソフトは 自動的にやってくれるのが多いので自然にできると思います. この引用をしながらの電子メールのやりとりも1対1の場合はいいのですが, 次に述べるメーリングリストや複数の人が電子メールのやりとりに参加している場合は 結構話が発散するので注意をした方が良いでしょう.

 電子メールが互いに自由に使えて便利さが分かってくると, 電子メールを使う人達の間で話合いや会議や議論が始まって来ます. ここまでくるともうインターネットは仕事や生活の1部ですから, 逆に今まで仕事や生活の中で行ってきた会議や会合や話合いでの ルールやエチケットや取りまとめ等は同じように適用すればいいでしょう. 相手の顔が見えない電子メールだから 気楽に偉い人にでも電子メールの送れる気安さもありますが, 始めの相手には自己紹介をするとか,誰それの友達であるとか, 互いを認識しあうプロトコルは普通の会話の中にもあるので, それぐらいは守りたいものです.

 我々のような研究者なら互いの研究情報の交換のために電子メールは使えますし, もともとインターネットの始まりには このような研究のために電子メールは使われていました. 良くインターネットは何の役に立つのかと質問を受けた時期があります. 最初は,研究や教育やという風に説明していたのですが, 質問者の興味の対象がいろいろなのでなかなか理解してもらえませんでした. それで質問者に逆に 「あなたは電話がどのように役に立っていますか」と質問をして, 「その答えがそのままインターネットの便利さです」と答えています. これからなら 「あなたは電話やテレビやラジオや新聞がどのように役にたっていますか」 という質問に変わるでしょう.

 これからのインターネットの利用方法にも移動通信が出て来ます. すでに携帯電話やPHSの形で電話としては実現されています. 第2章のインターネットの仕組みの2.2節で話したように, インターネットは有線であれ無線であれ いろいろなネットワークの上で動いているので, 携帯電話でもインターネットの端末系としてネットワークには既に継っています. PHSも1997年春から32Kbpsのデータ通信として使えます. 私もディジタルの携帯電話にモデムカードで接続して新幹線の中でも 9600bpsのスピードで大学の計算機に接続して電子メールを読んでいます. PHSのデータ通信サービス(PIAFS:PHS Internet Access Forum System)も 大学の研究室との間で試験的に始めています. 新幹線も含めて携帯電話の車内での使用は結構はた迷惑ですが, データ通信なら無音なので遠慮無くやれます. 欠点はディジタル携帯電話を新幹線で使う時には トンネルの箇所を事前に覚えておかないとまずい事でしょうか. もっとも欠点はお金がかかる事ですけどね. 私の場合はディジタル携帯電話とPHSを条件に合わせて使い分けています.

 上の文章で示したように電子メールを通信手段としておけば, 本人さえその気になれば「どこでも,いつでも」の環境は作れます. 特に電子メールはインターネット利用の基本のツールなので, 電子メールの環境をうまく作っておけば便利です. ただ技術としてここまで使える電子メールですが, これをどのように使うかは皆さんの気持しだいです. これから1週間は何も煩わされずに 「昼はテニスをして,夜はおいしい料理とお酒で寛いで,本を読みたい」と思えば 実行すればいいのです. 緊急の場合だけ連絡をしてもらえるようにしておけばいいでしょう. 電子メールがたくさんくれば大変だと言う人も多いのですが, 1日に100通電子メールが来る事と, 100本電話が入る事を考えればはるかに前者の方が楽でしょう. 更に便利なメールソフトがあればGoodです. また,恋人と愛を語るならやはり電話の方が良い (会った方がもっといいですが)というようにメディアを使い分ければいいのです.

 送られて来た電子メールや,送った電子メールの整理はなかなかやっかいな事です. 前項の最後でちょっと書いたように, 電子メールはフォルダーに分けて入れておくと便利です. 私の場合は,最初の頃は送られて来た電子メールを

のいずれかで分けていました. のようです. これは操作をUNIXベースで行っているので, 項目別や日付別の電子メールを処理する事を最初から意識しているからです. 最近は,より便利なメールソフトを使っているので, 新規のフォルダーも自動的に作成してくれますから, 所属と名前のフォルダーかテーマのフォルダーを作ってそれらに落し込めば, 日付もメールのヘッダーに入っているので 最初のスタイルを守りつつも電子メールの整理は出来ています.

 電子メールを文書と考えて,文書を整理すると考えれば, もうこの問題は単に電子メールを整理する問題ではなくて, 「情報をいかに整理するか」の問題になります. これはもうこの講座の扱う範囲を越えていると考えています. ただ一言だけ技術屋として言わせてもらうと, せっかくインターネットや計算機やユーザインターフェイスの技術が進んで, 便利なツールが出て来ているのにそれを使わない手はないと言う事です. 4.4節でWWWの話をする予定ですが,ここでもこれからの問題は情報の整理です. 過去いろいろな情報整理方法が提案されながら決定的なものはありません. しかしノウハウは徐々に溜りつつあります. 道具も進化している事も覚えておいてください.


4.2.5 メーリングリスト

 電子メールはもともと1対1の通信手段ですが, 複数の人に同じ内容を送る機能があるので, この機能を積極的に使ったのがメーリングリストです. このインターネット講座の中でも使っているので どのようなものかは受講生は良く分かるでしょう. 電子メールの中で複数に送るように設定して, 届いた人が返事に必ず同じメンバーにも送れるようにしておけば メーリングリスト的な電子メールとなります. しかし一般的にはメーリングリストと言えば, メール・サーバでメーリングリスト用の電子メールアドレスを用意して, そこに電子メールを書けば登録されたメーリングリストのメンバーに届く システムの事をさします.

 このようなメーリングシステムの実現は UNIXの仕組みの中では比較的簡単に実現できますが, エラーの場合の処理や,

等も機能を実現しようとすると, メーリングリストのためのソフトウェアを仕掛けないといけません.

 メーリングリストの電子メールでは,サブジェクトが

Subject: [vuniv97-nakano:330 Pictures in Ofumi]

のようになっています. ここでvuniv97-nakanoはメーリングリストの名前(またはその省略形) で330は通し番号です.

 このサブジェクトがメイラーの中でどのように現れるかを考えると, ユーザはたくさんある電子メールの中から,メーリングリストだけを 比較的簡単に認識出来る事が分かりますね. サブジェクトがうまく作られていれば, 1つのメーリングリストの中で複数の話が走っていても切り分けられます. このような話の流れをスレッド(thread)といいます. あとからもう少し詳しく話をします.

 メーリングリストは組織内の会合や打合せに使えますし, 同好の志のグループの話合いにも使えます. 複数の人がなにかするのに使えるので, それこそ複数の人の通信手段として多くの場面で使えるツールです. 電子メールの使い方の1部と言うよりは グループウェアの便利な道具として考える方が分かりやすいと思います.

 私も学内や学外の委員会やインターネット的な集まりや ボランティア的な集まりや,また研究等で情報を得るために 多くのメーリングリストに参加しています. おそらく数十だと思いますが, 活動していないのもあるので正確には分からない状態です. またその内のいくつかは私がメーリングリストを管理しています.

 メーリングリストには私的なものや公的なものがあります. 学内や学外で委員会等と同時に走らせているメーリングリストは公的なものです. ただ,委員会等で顔を合わせて話し合うよりは 各委員が時間のある時に自由に発言出来るので 割とフランクに話が出来るのが良い所でしょう. 私的なものでは「宴会」を開くためだけのものや, 共通の興味で開かれているメーリングリストも多くあります. メーリングリストを公開するか公開しないかも選べますが, 公開しなくともアドレスが分かれば参加者でなくとも メーリングリストに向かって発信出来るので (ただし返ってこない)注意は必要です. 参加者以外からは受け付けないようにも出来ます. これはDM(Direct Mail)やメール爆弾が多数の参加者がいる メーリングリストに投げ込まれる事が多くなったからです.

 今まではメーリングリストは上記のような使われ方をしていました. 最近ではインターネットが商用利用可能なので, 企業ではユーザサポートの窓口に使ったり営業の窓口に使われ始めています.

のような形式が多いようです. 大学でも入試に対する質問を受けたり,企業では求人などにも使われるでしょう.

等のアカウントが一般的なようです.

 ユーザサポートを例に取って このような形の窓口的メーリングリストの長所を考えて見ましょう. ユーザに取っては電話と違って話中がないのでいらいらする事はありません. 電話や手紙やFAXと違って返事は計算機で扱いやすいデータなので それを処理しやすくなります.

 サポート側から見るともっと多くの利点があります. まずは複数で質問のメールを受けるので, 質問の難易度に合わせて新入社員や熟練社員が対応出来る事です. 簡単な事なら用意したファイルを返信すればいいので 新入社員レベルでも対応可能でしょう. 準備していない難しい質問には熟練社員が対応する事になりますが, この答えもメーリングリストを流れるので 新入社員レベルの社員に対する教育にもなります. また,この難しい質問の返信をサポートの共通のデータベースに入れておけば ノウハウの蓄積にもなります. もちろん届いた質問は製品の改良や次の新製品にたいするヒントにもなります. 更に積極的にサポートのシステムを作ろうと思えば, このメーリングリストの窓口をデータベースにして, 問い合わせの電子メールをデータベースで処理して, キーワードに当たれば自動的に当該の答えのメールを返信し, キーワードに当たらないものを人が処理すれば「しょうもない」質問を 扱う労力から開放できるでしょう.

 メーリングリストを扱うシステムの機能をいくつかあげましたが,自動化をすると サブジェクト欄か本文の最初に

help

と書くだけで自動的に使い方の説明や案内の返信メールが 返ってくるようにできます. その仕掛けを上記のユーザサポートに使えばいいのです.

 ここまではメーリングリストの良い所ばかりを書いてきました. インターネット全体もそうですが 電子メール,メーリングリスト,電子ニュースと対象とする 人の集まりに違いはありますが, 議論をするという部分に入ると共通するの問題があります. それは1対1の場合はそれほど問題はないのですが, 複数の人が議論を始めると,議論が発散する事や諍いが起こる事です. 前者の議論の発散はメーリングリストにしても電子ニュースにしても まとめる人がいないとどうしようもないでしょう. パソコン通信のBBSではSigOpe等の名前で各ニュースグループまたは フォーラムをまとめる人がいます. 「ネットワークで喧嘩」の問題も互いに顔が見えないだけに 陰湿な部分があってやっかいな問題です. 1つの解決策はネットワークだけでなく,実際に会って話合う事です. パソコン通信ではこれを「オフミ」(Offline Meeting)と言っています. また委員会や会合でメーリングリストを使うとしても 最初は顔を合わせる会合をやり, 最後の結論を出す時も会合を行う事が必要だと思います. もめた時も「オフミ」が要りますね. 電子メールが届いた時に相手も顔の画像が自動的に表れるのも面白い考え方です.

 電子ニュースも含めて1つのメーリングリストやニュースグループの中でも 1つの話題に対して議論が盛り上ります. この1つの議論の流れを「スレッド」(thread)とよびましたね. 「議論の糸」という意味です.議論が途中で分かれたりもつれたり切れたりします. 議論が変わるとサブジェクト欄を書き換える事で新しいスレッドとします. メーリングリストにしてもニュースグループにしても 同時に複数のスレッドが走っているので, ユーザはそれを選んで参加する事になります. その意味でもサブジェクトは皆に分かるようにしっかり書きたいものです.

 ネットワークで喧嘩状態に入るのも良くあることです. 顔を合わせた場ではそこまでいかなくともネットワーク上では喧嘩状態に入り, 他の参加者も水を掛けずに油を注ぐ人があるので(本人はそう思ってないことが多い) メーリングリストやニュースグループでは紛糾します. 文字だけした使えない電子メディアの場合の限界でしょう. 顔と顔を合わした場合にはたとえ

「馬鹿やろう」

でも場面場面や表情やイントネーションで分かるものですが, 電子メールや更には不特定多数に流れる電子ニュースでは,

その表現はおかしい

という文章だけでも揉める原因になりそうです.


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