3.ワン・フィンガーOPAC(OFOPAC)の提案

 これをワン・フィンガーOPACと仮称しておく。システムの仕掛けは,利用者OPACとして利用者に見せる画面インターフェイス部分と,これを維持・管理するための典拠システムとに区分される。
 なお,ここでは主題検索について述べているが,技法自体は著者や書名検索機能においても基本的に有効なものだと考える。

3.1 検索の仕組み

3.1.1 <索引−書誌>検索モード

 図1はOFOPACの初期画面である。基本的に検索語彙を入力しなくてすむインターフェイスを考慮してある。画面の再上部に著者・書名・主題の各検索モードを選択するボタンが表示されている。ハードウェア・インターフェイスは,タッチスクリーンを前提として述べていく。図で,異なる色彩表示(または高輝度表示)がされている主題検索を選択した画面とする。画面中央に索引が表示されている。索引は,後に取り上げる分類と件名の典拠ファイルから切り出されている。分類,件名の各々の典拠ファイルのどちらか一方,または両方に共通する索引語は個々に色彩等で識別可能なものとする。スクロール・バーが音順配列の索引語の先頭に表示されている。スクロール・バーの先頭の上・下の矢印をタッチすることで,索引は上下にスクロールする18)。システムはタッチの時間を計測し,だんだんと高速スクロールを行う機能を持つ。また,索引先頭・索引末や前画面・次画面などのワープロにある程度のスキップ機能も持たせても良い。ただし,これらを含む機能の付加と操作のシンプルさはトレードオフの関係にある。主たる利用者層に対する判断において決められるべきものであり,すべての館種,規模を通じての絶対化は困難である。また一方でこのことは,逆に利用者OPACの操作性標準化の問題とは相対立する。ここでもトレードオフの関係があり,さらに標準化と進歩にも同様の関係がある。システム・ログの分析や利用者調査の実証的研究の中で進めて行く課題ともいえる。


 ここで,個々の索引語の右に2列に数字が表示されている。左列の数字は,その索引語そのものが対応する書誌の件数を表示している。右列の数字は,その索引語を含む下位語にも対応する書誌の累積件数を表示している。書誌表示の基本操作は,ボタンで索引の左列か,右列を選択して表示させることになる。初期設定は左列選択(その索引語そのものの付与された書誌の表示を選択)としても良いように思われる。
 図2が索引から書誌表示に移行した画面である。図では複数件の書誌のヒットに対応して書誌の簡略表示が表示されている。書誌が1件しか対応しないときは,書誌の詳細表示画面が直接示されることになる。ここでも,画面を越える件数の書誌の表示は,先頭書誌の上に表示されているスクロール・バーで順次スクロールしていくことになる。

 図3は書誌の詳細表示画面であるが,右隅のウィンドウにその書誌に対応する索引が複数表示されている。詳細書誌表示から関連索引へ逆戻りし,その索引から対応書誌へ再び「渡る」ための機能である。設計では書誌の単位を,日本目録規則1987年版において示された単行書誌単位19)を基礎としているので,OPACの展開としてはさらに出版物理単位を介して,物理単位と所蔵情報へと展開することになるがここでは省略する。

 このように,検索において検索語彙を入力することなく,かつ「指定の条件では,OOOはありません。」というシステム・メッセージをだす,ヒットしない検索を避ける事が可能となる。以下に,二つの検索モードを示す。

3.1.2<索引−典拠>検索モード

 <索引−典拠>検索モードは,主題検索において主題の網の目の拡大・縮小を分類表の概念の体系性や件名標目の意味の部分木の階層の上下によって行おうとする検索機能である。
 図4−1は索引から,対応する分類体系を表示させた画面であり,画面中央にスクロール・バーで対応した索引語彙のレベルが表示されている。この図では目レベルまでを表示している。画面右の2欄は,前述と同じく対応する書誌件数の2種類である。利用者はバーを上下することにより,主題の階層を上下することになる。また,図4−2では,ボタン設定でスクロール・バー上の指定された目レベルの詳細展開をすべて行っている。


 なお,分類の階層表示において列挙型分類表を前提としているが,この場合に最初からすべての詳細な展開を一度に表示しその中で高速スクロールを行うか,表示のレベルを項・目・要目以下のレベルなどにレベルわけをして,利用者の選択の中で行うか20)は,ここでも選択事項である。
 図5は索引から,対応する件名標目の意味の部分木を表示した画面である。表示内容や画面操作の振る舞いは,先の分類体系表示と基本的に同じである。このでの画面の特徴としては,件名標目の意味の部分木に特有な多元階層構造を,画面中央に系統図的に折り畳んだ形で表示し,部分木の根からの位置を画面左上の「迷路地図」上で色彩表示しているところである。中心となる索引語が,複数の根を持つ場合や複数の枝に分かれる場合には,部分木の該当ノードで系を選択することになる21)

3.2 典拠ファイル構築の必要性

 前項において,利用者OPACにおける主題検索機能を画面の振る舞いとして簡単に展開したが,実際にこうした機能を維持管理するには,利用者OPACの背後に分類や件名に対応した個々の典拠ファイルの構築・維持が必要となる22)
 典拠ファイルは資料に対するアクセス・ポイントを管理し、目録の探す機能(finding function)と集める機能(gathering function)を保証するための仕掛けである23)。 このために、集中性と排他性の機能を持ち、かつ維持・管理のためにアクセス・ポイント作成の根拠等を有する必要がある。
 集中性とは、例えば異名同人や同一著作の異なるタイトル、件名の標目・参照の管理などがあげられる。一方排他性とは、例えば同名異人、異なる著作の同一タイトルの排除などが考えられる。
 このような目的で典拠ファイルを維持・管理し、典拠コントロールの対象として、書誌レコードに対応して書誌検索上の著者(個人・団体・会議名)、統一タイトル、主題索引(分類・件名・シソーラス等)、シリーズ名(逐次刊行物の変遷を含む)等が考えられる。
 なお紙数の関係で,典拠ファイルの機能と維持・管理の詳細について述べることは省かせていただいたので関係文献などを参考にされたい24)
 ただ,第1章で取り上げた現行OPACでの問題点,例えば分類表や件名標目表の追加・修正・改訂などや,機械可読として頒布されるであろう各種典拠データへの対応を考えれば,その必要性の一端はご理解いただけると考える。