大阪市立大学の歴史
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業の全面実施、コロナ禍困窮学生への早期給付の開始、メンタルヘルス・チェックの全面実施による学生の救済を先駆けて実施し、「この災害によって、ひとりたりとも学業を断念せざるをえない学生を生み出してはならない」という強い決意を持って、教職員が全力で戦いを繰り広げている。また、2月初旬という早期から、新型コロナウイルス緊急対策本部を立ち上げ、「感染を受けない、拡げない」啓発を強力に展開し、意識レベルの高い学生・教職員とともに、「ピンチをチャンスに変える」活動にワンチームとして取り組むことができていることを誇りに思う。 2016年4月に、私が学長就任直後に打ち立てた「笑顔あふれる知と健康のグローカル拠点~大阪市立大学」というスローガンのもと、教職員一丸となって本学のプレゼンス向上を図ってきたが、五代ゆかりの大学として、その名に恥じないよう、さらなるグローバル人材育成、さらなる研究力強化に努めていく。 このようなすばらしい歴史、環境の中で、最先端の研究を推進し、大都市大阪のシンクタンク機能を存分に発揮している大学であることを、在学生や市民、そして現役の教員・職員や卒業生にもっともっと知ってほしい。私自身が、かつて本学の歴史、偉大さについてほとんど知らなかったことが、今とてももったいない気がしている。これを機に、本誌をリニューアルし、新しい気持ちで皆様のお手元に届けることにした。大阪市立大学の歴史と現在を多くの人々に理解していただき、「ええやないか」「なかなかやっとるやないか」と言っていただけるよう、精一杯精進していく所存である。 2022年には、大阪府立大学と統合し、新大学「大阪公立大学」となる。2025年には、森之宮にメインキャンパスを移すことになる。両大学の重厚な歴史・伝統を継承しながら、新たな時代の日本を代表する教育研究機関として、見事に生まれ変わる姿を想像するとワクワクする。森之宮が新大学を迎えることにより、キャンパスタウンという新しい「まち」の形を創造するブレークスルーが起こることを確信している。「大阪城東部地区まちづくり検討会」で提案した、まちづくり・ひとづくりのコンセプト「STAD」(Science・Technology・Art・Design)の4要素が調和する新時代を夢見て、大阪市立大学としておそらく最後となる『大阪市立大学の歴史』の刊行を祝いたい。 最後に、本書の刊行にあたって、直接編集・執筆の実務をご担当された方や関係各位の並々ならぬご労苦に対し、深甚の敬意を表し御礼申し上げます。2020年10月大阪市立大学 学長荒 川 哲 男

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