大阪市立大学の歴史
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あとがき201 この「あとがき」を執筆している時点では、2020年11月3日に、歴史ある1号館(本書口絵のカラー写真)の一角で、「140周年記念展」が開催され、本学140年の軌跡を振り返るものとして記念展開会と同時に出版される予定になっている。 本書は、2007年3月に刊行された『大阪市立大学の125年:1880~2005年』の3度目の改訂版である。大学の100年については『大阪市立大学百年史』が、101年から125年については『大阪市立大学の101年~125年―第2世紀への出発1981~2005年―』が、基礎的事実を広範に収集し分析しているが、2006年の法人化以後はまとまった作業はなされていない(もっとも、『大阪市立大学史紀要』が2008年から刊行され、歴史の更新がなされている)。そこで、法人化以後現在までの事実関係を比較的詳しく記述することで、従来の成果を補う必要も痛感された。そのために、本書執筆者のおひとりである、中瀬哲史氏(経営学研究科教授、専門分野は経営史)を煩わせ、「Ⅶ 21世紀を超えて奮闘する大阪市立大学(2000年~)」を追記・改訂していただいた。経営学研究科長として大学行政に忙しく携わっておられる時期に、無理を承知でお願いし、しかし快くお引き受けいただいたことに深く感謝する次第である。 本書は、さまざまな人のニーズに応えようとする欲張ったものになっている。まず、本学に入学した学生が自校史を学ぶことを通じて誇りをもって学生生活を送るようにすること、卒業生がいつでも人生を立ち返ってみる場所として大学を想起できること、また本学教職員にとってはそれぞれの部署における立ち位置を明確にする素材として、そして総じて大学へのアイデンティティ形成に寄与するという意図を持っている。さらには、本学に関心を有する大学人のみならず一般市民にも開かれたものになっている。 さて、本学は2022年4月に大阪府立大学と統合し、新大学「公立大学法人大阪 大阪公立大学」として再出発する予定である。本書が「終わりの始まり」を懐かしむものではなく、「始まりの終わり」のために読まれることを希望したい。さらに、本書を読まれた方々が、「記念展」にも足を運んでいただくことを切に希望するものである。  2020年10月大阪市立大学大学史資料室長桐山孝信140周年に寄せたあとがき

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