大阪市立大学の歴史
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166Ⅶ 21世紀を迎えて奮闘する大阪市立大学学期間、履修内容等)を満たす大学に留学する学生を「認定留学」として承認することにした。認定留学の場合、本学の授業料に加え、相手大学の授業料も自己負担となるが、交換留学と同様に在籍を「留学」と扱い、留学中の単位認定および在学年数・修業年数への参入を可能とするものである。 2015年3月には国際化グランドデザインを制定して、大阪市立大学の国際化戦略を一新した。理念として掲げたのは、トランス・ローカリズムという興味深い考え方である。金融やIT産業が示す圧倒的な「グローバリズム」を相対化し、草の根レベルのグローバリズム、すなわちローカルな場所に依拠しながらローカル間の関係を張り巡らすことによって、もうひとつのグローバルな世界を切り拓くための、批判的、対抗的な精神に溢れた思考・行動の枠組みを意味するものである。上から「見下ろす(俯瞰)」のではなく下から「仰ぎ見る(仰観)」視点をもって世界を捉え、世界とかかわろうとする活動様式という。ここでいう「ローカル」とは大阪やバンコクといった特定の空間、地域を指すのではなく、グローバルの対照としてのローカルであるとする。 そして、大阪市立大学の育成するグローバル人材として、「どこにいても生き延び、他者のために骨惜しみすることなく働くことのできる」というサバイバル力のある人だと定義したのである。 以上を運営するため、国際センターを、教員スタッフ、事務スタッフ、専門職員からなるものとして全面的改組すること、English Caféと合流したグローバル・ビレッジを設けることを目指すとした。ただ、武器や高性能な機器・細菌など、軍事的に利用可能な貨物・技術を核兵器等の大量破壊兵器の開発を行っている国やテロリスト集団のもとに渡さないようにと、外国為替及び外国貿易法(外為法)により厳格に管理されている安全保障輸出管理への配慮を必須としている。 また、大阪市立大学は2018(平成30)年6月より、国連アカデミック・インパクト(SDGs)に加盟し以下の6つの原則に基づく活動に従事している。すなわち、原則1:国連憲章の原則を推進し、実現する、原則4:高等教育に必要とされるスキル、知識を習得する機会を全ての人に提供する、原則6:人々の国際市民としての意識を高める、原則8:貧困問題に取り組む、原則9:持続可能性を推進する、原則10:異文化間の対話や相互理解を促進し、不寛容を取

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