大阪市立大学の歴史
173/220

159 21世紀を迎えて奮闘する大阪市立大学 Ⅶ 結局、2015(平成27)年5月17日の大阪市特別区設置に関する住民投票において反対の票数が半数を超え、今後とも政令指定都市・大阪市が存続することになった。その結果に対して、大阪市立大学は新大学の実現が望まれるとしつつも、「本学は、これまでにも増して本学の歴史伝統を礎に教育力や研究力の強化に力を注ぎ、広報活動も強化して発信力を高め、さらに多様なステークホルダーの方々の支援も仰ぎながら、今まで以上に大学のプレゼンスやブランド力を高めていきたいと考えてい」るとして受けとめた(理事長兼学長西澤良記「住民投票結果を受けての本学の考え方」(2015年5月25日))。 住民投票後の2015年9月に、当時の大阪市長から、地方行政法人法第78条第3項に基づくものとして、「公立大学法人大阪市立大学第2期中期目標の変更について」の申し出があった。 第1に、前文の中の、現行の「都市研究の拠点として大阪市を核とした関西圏の発展や国際化をリードし、市民に愛され市民が誇る大学となることを期待する。」を、「強い大阪を実現するための知的インフラ拠点として大阪の発展に貢献し、市民に愛され市民が誇る大学となることを期待する。」と変更すること、第2に、「第6 その他業務運営に関する重要目標」において、新たに、「大阪府立大学との統合による新大学実現へ向けた取組の推進、世界的な大学間競争を勝ち抜き、より強い大阪を実現するための知的インフラ拠点として存在感を高めるため、大阪府立大学と大阪市立大学で取りまとめた「新・公立大学」大阪モデル(基本構想)を踏まえ、地域課題解決型の公立大学の実現に向け、大阪府、大阪市及び公立大学大阪府立大学と緊密に連携を図りながら、2020(平成32)年度の大阪府立大学との大学統合を目指し、準備を進める。」の加筆を求めた。 結局、大阪市立大学は、2016(平成28)年3月、当時の大阪市長からの申し出に従って、前述の中期目標の前文を、変更することにした。 なお、公立大学法人大阪市立大学は公立大学法人大阪府立大学と新設合併して、2019(平成31)年4月より公立大学法人大阪が設立された。その第一期中期計画では、教育、研究、地域貢献の他に「都市シンクタンク」「技術インキュベーション」の新たな2つの機能が打ち出され、充実・強化することで大阪の発展を牽引できる全国ナンバーワンの公立大学の実現を目指すものとされている。

元のページ  ../index.html#173

このブックを見る