大阪市立大学の歴史
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158Ⅶ 21世紀を迎えて奮闘する大阪市立大学究戦略として、選択と集中による先端分野の研究の戦略的な展開、垣根を越えた研究の推進を、運営改革戦略として理事長・学長の分離とガバナンスの強化、教員人事の一元化と教員配置の定期的見直し、外部資金獲得による「柔軟で持続的に改革する大学」を掲げた。キャンパスについては、将来的に大阪市内中心部への新たなキャンパス配置に触れていた。 こうした設置者からのプランに対し、大阪都構想住民投票の実施決定を受けた2015(平成27)年1月に本学はその動きに対応していく覚悟を示した。同年2月には、大阪府立大学とともに、「『新・公立大学』大阪モデル(基本構想)[検討案] 平成27年2月23日」を発表した。 この文書では、地域活性化における公立大学の意義のもと、国際都市大阪における公立大学として大阪の成長とともにその国際化に寄与するなど大阪に貢献する存在になると記した。 具体的には、人口減少社会の訪れた「将来の大阪」にとって、大阪における複層的課題に対応する『知』の拠点となること、大阪の発展を牽引するため、国際的視点を踏まえた地域課題解決型の公立大学となることを明示した。 教育面ではグローバル人材の育成、基幹教育の充実、高度な専門性を有する人材の養成を、研究面ではグローバル研究拠点の形成、先端研究、異分野融合研究の推進、イノベーション創出拠点の形成に触れ、明確に地域課題解決型研究の推進を、地域貢献面では大阪の歴史・伝統・文化を支える地域貢献拠点(COC)の形成、大阪における産業活性化への貢献を果たすものと記した。 その統合の具体的な貢献例として、大阪の健康度アップ(健康科学の拠点)、くすりの町大阪の発展、環境に配慮した都市圏の創造、低炭素社会の実現をあげた。 新大学を支える仕組みについて、これまでの文書同様に、運営基盤を確立させ、法人組織と大学組織を構築し、学長の補佐体制と意思決定を明確にし、教育組織と教員組織の分離や教員人事、事務組織等を整備するとした。大阪府立大学、大阪市立大学は新大学へ向け当面の連携強化を進めるとした。 キャンパスについて、これまでに述べられたように、新大学の開学にあわせて大阪都心部に象徴的なグローバルキャンパスの展開、グローバルセンターの設置に加え、地域コミュニティにとっての生涯学習の拠点の設置も記した。

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