大阪市立大学の歴史
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157 21世紀を迎えて奮闘する大阪市立大学 Ⅶ人材の育成等という教育、理系と文系の垣根を越えた「都市科学」研究、地域連携センターとシンクタンク窓口の設置という社会貢献の各取り組みが重要であるとした。 2011年11月27日大阪府市ダブル選挙の結果、2012(平成24)年1月の第1回法人統合戦略検討会議を受けて、市大プロジェクトチーム「大阪市立大学改革案最終報告 平成24年11月13日」を明らかにして、一歩進んで積極的に大学改革を進める意欲を示した。 「今、なぜ改革か」として、都市大阪の地盤沈下、大学進学率5割越えと入学者の多様化、大学院大学の強化の必要性、行政の財政悪化、教職員の削減による負担増を理由に挙げた。そこで、教員組織と教育組織を分離して、柔軟な教育・研究組織を立ち上げること、全学の組織的活動を機能させるためにOCUグリッドと「機構」を導入すること、高等教育開発機構を設けアカデミックライティング教育を中心とした初年次教育の全学的展開を例とする全学共通教育改革を進めて学士課程教育を再構築すること、とした。 めざすべき大阪市立大学像として、リベラルアーツ(教養教育)と都市の実践知に強い総合大学、関西圏を牽引する大規模知的拠点としての確立、国際化と大阪に活力を与えることで国力の向上に寄与することというように、「大阪」の公立大学である点を強調するものだった。 以上の大阪市立大学からの将来像に対して、設置者から、大阪の成長、発展という、より明快なビジョンが提示され、大阪府立大学と大阪市立大学の統合が示された(大阪府・大阪市「新大学ビジョン(案)―強い大阪を実現する知的インフラ拠点をめざして―平成25年4月」)。 「なぜ、いま大学統合か」との問題意識のもと、ちょうど大阪府・市統合の議論がなされていること、文系・理工系・医系を有する大阪市立大学、理工系に強い大阪府立大学のポテンシャルを両大学の統合によって一層活かして世界的な大学間競争を勝ち抜くこと、何よりも両大学は公費を投入して運営される「公立大学」であることから「強い大阪」を実現する知的インフラ拠点という役割を果たしていくこと、が強調されていた。 具体的な戦略としては、先述の市大プロジェクトチーム文書の流れに沿うように、教育戦略として国際的に活躍できるグローバル人材の育成の重要性、研

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