大阪市立大学の歴史
167/220

153 21世紀を迎えて奮闘する大阪市立大学 Ⅶ役割を果たし、社会で活躍する人材」となるための第一歩を踏み出すことができること、また、入学後、比較的早い時期に大学生活に躓く学生が少なくないことにも配慮できるものとされた。そのため、学生の認識のより根本的な変換や新しい知識や技能の着実な定着に効果を発揮すると言われるActive Learningを取り入れる必要があると考えられた。初年次教育科目には学部横断のそれに加えて、各学部による導入教育科目が含まれる。 そして、大阪市立大学では、FDだけが個別にあるのではなく、大学としての理念・教育のあり方に基づく教育活動におけるその質の向上・改善に向けた取り組みの一環・一手段として、本学の教育力向上のための取り組み(=FD)が位置づけられると考えられ、教育改善・FD宣言として制定されたのである。 英語教育開発センターは、「読む・聴く・話す・書く」の4つの能力をバランスよく修得された実践的な英語力を教育するための機関として設けられた。この実践英語を身につけるためには、文法・イディオムなどに対する知識が不可欠である。総じて英語の学習を通して、異文化理解、他者とのコミュニケーション能力、自己表現、ものの見方・感じ方の相違(自己の相対化)、論理的思考力などを身につける必要があり、アカデミック・コミュニケーション能力を向上させることに重点を置いた教育が必要である。 以上の考えのもとで、1回生向けの必修英語科目CE(College English)Ⅰ~Ⅳをネイティブスピーカー教員で提供し、2回生向け必修英語科目CEⅤ、Ⅵを英語運用能力の基礎力アップを目指すものとして準備した。CEで培った英語運用能力よりもさらに高度なそれを望む学生を対象に、自己表現力、批評力、文章構成力、理解力などを磨くことを目的とする自由選択科目ACE(Advanced College English)も準備した。音声共通テストとして、口頭英語自動測定試験(Versant for English)を活用した。 この新たな英語教育の成果を調査したところ、上位クラスに比べて、特に下位クラスにおいて予習復習を行っている学生が多く見られる場合が多く、前期よりも後期の方がより多くの学生が予習復習を行う傾向がみられた。 また、全学共通教育棟5階の一室にEnglish Café(自習室)を設置して、学生の自学自習を支援した。PCを設置してネットによる英語の自学自習を行うことを可能にしたほか、PCを使用した授業の課題の作成作業、英字の新聞・雑誌の

元のページ  ../index.html#167

このブックを見る