大阪市立大学の歴史
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152Ⅶ 21世紀を迎えて奮闘する大阪市立大学向の強い課題解決能力を身につけた高度専門職業人養成を目的とした。後述のように、その後都市経営研究科に生まれ変わる。 なお、第2部(夜間課程)については、2008(平成20)年10月、2009(平成21)年度入学試験を最後の募集にすることを決定した。第2部は、大阪市からの強い要請で1950(昭和25)年に開設され、勤労青年に高等教育の機会を提供することを基本理念として、第1部と同一原則のもとでの教育を実施し、多くの有為な人材を輩出してきた。社会情勢の変化、大阪市立大学の置かれた厳しい情勢などから決断したものである。 法科大学院は「幅広い教養と専門的知識、柔軟な思考力、説得・交渉能力、社会に対する洞察力、国際的視野を備えた法曹を養成するために、現行司法試験の『点』のみによる選抜から『プロセス』としての新たな法曹養成制度への転換を求め」て設置されることが国において認められた。これまでの大阪市立大学法学部の占めてきた位置より、その設置は不可欠と考えられた。これに伴い、大学院法学研究科前期博士課程は法曹養成専攻(法科大学院)、研究者養成のための法学・政治学専攻の2専攻に、その2つの専攻の上に研究者養成のための後期博士課程法学・政治学専攻を置くという再編を行った。 大学教育研究センターは、大学教育の内容、方法および点検・評価などに関する事項を調査・研究し、必要な提案を行い、またその知的資産を全学的に蓄積し、それらを全学および各学部・研究科の教育改革に活用していくため、恒常的な専門的部局として設けられた。 この大学教育研究センターが中心となって、特に初年次教育の議論、大阪市立大学教育改善・FD(Faculty Development)宣言の制定がなされた(2011年3月)。大阪市立大学における「初年次教育」とは、本学に入学した初年次の学生を対象とする学士課程教育への移行を円滑に進めるための教育的活動の総体と考えられた。現行の「1回生セミナー」のような授業科目のみではなく、オリエンテーション、学習相談(担任制度など)等をも広く含むものと定義された。 初年次教育科目では、答えの出ない課題に向き合ってじっくりと悩み考えるという体験を通して、狭い専門分野だけに閉じこもらず、さまざまな考えや志向を持つ人々と協同して複雑多様な問題に取り組む力が養われる。本学の教育理念である「人類の幸福と発展に資するため、さまざまな分野において指導的

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