大阪市立大学の歴史
155/220

141 「第2世紀」を迎えた大阪市立大学 Ⅵよる被災の事実を証明する公的機関発行の書類等を提出できるもの、第1部全学部及び第2部の一部については大学入試センター試験を受験し、3月23日までにいずれの国公立大学にも合格していないもの等を資格として、第1部計約84名、第2部計約22名、合計約106名を募集した。その結果、特例入試の志願者354名に対して、88名が合格した(79名入学)。特例入試による入学者は、一般入試入学者と比較しても遜色がない点報告されている。なお、この時の全国の国公立大学の特例入試は143大学で実施され,志願者数1479名、合格者数347名、入学者数329名だった。本学への合格者は、公立大学の合格者数の約35%、国公立大学全体の25%にも上った。被災地に近接する総合大学として、被災受験生への責任を果たしたといえよう。 第3に、被災患者の受け入れ等については、医学部附属病院において3月22日までに入院患者59名、3月27日までに外来患者176名を受け入れた。また、職員の派遣としては、大阪市医療救護班としての医師・看護婦の派遣、大阪市一時休息所への医師・看護婦の派遣、芦屋市立病院等医療機関への医師等を派遣した。医師450名、看護婦346名、事務職員71名、薬剤師26名、栄養士11名の延べ904名にのぼった。救護物資提供では、救急対応医薬品7万8390点、救急対応資機材1万4180点、人工透析患者の海上移送による収容支援を実施した。また、兵庫県監察医からの要請で、医学部法医学教室から医師1名が1月19日−21日にかけて灘区において113体の検案を行った。 第4に、ボランティア活動では、特に生活科学部が重要な役割を果たした。社会福祉学研究室は関西の福祉系8大学の救援グループの構成メンバーとして、1月30日から3月31日まで、避難所生活者の洗濯支援、ゴミ処理の支援、社会福祉施設での介護の補助等を行った(学生延べ731名の参加)。この他、食品栄養学科、生活環境学科等が取り組み、児童・家族相談所では、心理的ダメージを受けた被災者に対して無料心理相談を実施した。法学部では、本学名誉教授、法学部教員、本学出身弁護士、学生らにより、無料法律相談活動を西宮市、神戸市で行い、借地、借家、倒産、労働問題等で計58件の相談に応じた。工学部では、建築学科、土木学科等の学生が構造物被害状況調査、家屋損壊状況調査等に多数参加した。募金活動、義捐金カンパには、教職員組合、三大学学生研究討論集会、第2部自治会、生活協同組合等も加わったのである。

元のページ  ../index.html#155

このブックを見る