大阪市立大学の歴史
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140Ⅵ 「第2世紀」を迎えた大阪市立大学援助制度の発足を決定した。 その後、1993(平成5)年1月より、元志全寮明け渡し請求訴訟の裁判がおこなわれた。大阪市が勝訴したものの、被告側控訴によって継続し、1997(平成9)年7月大阪高裁で大阪市勝訴となった。また、1992(平成4)年5月より、中核派活動家の授業妨害に対する威力業務妨害罪容疑による裁判が行われ有罪判決が下された。被告側から控訴されたが、1997(平成9)年8月大阪高裁で控訴棄却判決が言い渡された。ついに、1997(平成9)年8月20日静穏のうちに志全寮明け渡しの強制執行が行われた。長期にわたる紛争の火種であった志全寮はこうして消滅した。6.阪神淡路大震災での対応 1995(平成7)年1月17日午前5時46分、淡路島北部を震源とするマグニチュード7.2の直下型地震が発生した。阪神・淡路大震災である。 地震直後、本学は以下のような応急的対応を行った。1月17日当日、教職員の出勤は容易でなかったが、教職員、学生の被害状況の把握がなされた。その結果、本学の教職員・学生本人の死亡、または負傷して入院にいたった例はないことが判明した。とはいえ、家族が死亡したり、家屋が大きな被害を受けた教職員、学生は多数を数えた。また、卒業生にも死亡者が出たのである。 その後、本学としては以下の対応を行った。第1に、在学生向けには、大震災当日の全時限の授業の休講、17日を提出期限とする文学部卒業論文の延期、追・再試験の措置、本学保健管理センターによる被災者のカウンセリングの受付、被災学生に対する経済的援助としての入学料、授業料の減免措置(この結果、入学料について全額免除107名を含めた117名の減免、授業料について全額免除253名を含めた287名の減免)を行った。 第2に、受験生向けには、被災者の大学院博士課程の出願期日の延期、大学院入試出願に関して被災地からの願書の直接持ち込みを認める特例措置、被災受験生に対する特別入試の実施、被災受験生に対する図書館閲覧室、教室等の、自習室としての開放等を行った。特に特例入試では、災害救助法による救助が行われた市町村に居住するか、または在学する高等学校があるもので、地震に

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