大阪市立大学の歴史
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139 「第2世紀」を迎えた大阪市立大学 Ⅵに記載されていない不正入寮者も判明した。そこで1991(平成3)年9月、不正入寮を防がなかったとして、大学は志全寮自治会委員長の懲戒処分を行った。 志全寮入寮募集停止は、これに抗議する授業妨害を誘発することが予想された。現に9月の授業開始日以降19件の授業妨害が発生した。大学はそのうち威力業務妨害罪として立件可能と判断された事件の授業妨害者を告発した。それを受けて1992(平成4)年2月、学外者と一部寮生あわせて7名の授業妨害者が逮捕された。 志全寮自治会委員長の処分、威力業務妨害罪の告発を行っていても大学は折衝による正常化の努力を継続した。しかし、学生部は、1991(平成3)年12月に申し入れた前述の5項目に関する折衝は進展しないこと、不法な入寮募集が続けられ、不正入居者は減らない状況と、在寮者の生活実態調査の結果、志全寮が就学援助施設として機能していないこと、など正常化に向かうどころか逆行していると報告した。なお、この時期、志全寮自治会委員長及び複数の総務委員が退寮していた。 以上の状況のなかで、大学は1992(平成4)年3月末で崎山学長の任期満了を迎えることから、志全寮の根本的な正常化を目指してこれまで寮自治会との間で取り交わされてきた合意書などすべての文書を破棄し、学則に則った管理・運営をおこなうこととした。同年4月、①自治会の代表者名を明らかにすること、②要塞化した居室2室の原状回復、③入居者のリストの提出、④入寮募集行為の即刻の停止と全学へのその公告、⑤不正入居者2名を自治会の責任において退去させること、という新5項目を提示した。しかし、志全寮側は回答しなかったため、大学はこの後志全寮自治会を寮生の代表機関と認定せず、すべての覚え書き、合意書、確認書等を破棄した。そして寮生個々人と、寮居室の使用等について取り決めようと、期限を区切って現在使用している部屋での居住意思の確認を行った。居室使用届出書の未提出者には説得、督促、弁明などの手続きをとったうえで入寮許可を取り消した。同年7月には寮への立ち入り調査を行い、9月には志全寮の占有移転禁止等の仮処分を申請した。大阪地裁による認定を受けて志全寮の不法占拠者に対する占有移転禁止等の仮処分を執行した。11月には不正入寮者に対する明け渡し請求訴訟を提起した。ついに、学生部A委員会の報告に基づき、11月の評議会にて、志全寮廃寮と新たな修学

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