流動する現代の 企業社会をとらえる
産業構造の転換期にあって、企業は従来の「生産起点型」から「店頭起点型」
生産・流通システムに必 死に「転換」しようとしています。例えば、アパレル
産業では、従来シーズンに先立つ半年前に展示会を開催し、そこで小売業から
の注文を確定して生産する方法が一般的でした。しかし、見込みで生産した
商品を「売り減らし」ていくこの方法は、需要が変わりやすく不確定な現在では、
膨大な売れ残り在庫を抱える危険性があります。そこで、計画生産量の7割を
あらかじめ生産し、残り3割についてはシーズンに入ってから売れ行きを見ながら
決定するとともに、売れる商品についてはできるだけ追加生産できる体制を
整えるようになっています。
店頭での実需の変化にいかに柔軟に対応できるかが、企業の競争力を左右すると
言っても過言ではありません。ただ、そのためには川上から川下に至るすべての
企業が「情報共有」するとともに、個々の企業や部門が「部分最適化」を排し、
「全体最適化」に向けて相互に活動を調整、協力し合う必要があります。
しかし、これまでアパレル産業では需要の不確定性に起因するリスクを分散するた
めに複雑な産業構造が形成され、可能であればリスクを他者に転嫁してきた経緯が
あるため、先の「理念」は必ずしも実現されていないのが実態です。
その解明には、標準化やシステム志向の弱いわが国の風土だけでなく、部分最適化
に陥りやすい企業間取引における「信頼」問題まで踏み込んだ研究が必要です。
経営学研究科は、1953年に設立されて以降、優秀な研究スタッフによる
「自由でアカデミックな雰囲気」の指導のもと、多くの研究者を輩出してきた
伝統があります。流動する現代の企業社会をとらえるためには、研究テーマが
多様性に富み、かつ相互に関連し合っている本研究科の「学際的アプローチ」
が有効と考えます。
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