大阪市立大学長  児玉 隆夫
大阪市立大学学長
児玉隆夫




大阪市立大学は、8学部1研究所および1短期大学部をもつ、我が国でももっとも規模の大きい公立大学です。また、大阪市内に位置する唯一の総合大学でもあります。その淵源は、1880年(明治13年)に創設された大阪商業講習所です。その後何度か校名を変え、1928年(昭和3年)に市立大阪商科大学に、そして1949年(昭和24年)に大阪市立大学となりました。
特に、大阪商科大学への昇格は、当時の関市長をはじめ、大阪市民の10年におよぶ熱心な運動が結実したもので、全国で最初の市立大学の誕生でした。創設に関して関市長は「大学は都市と共にあり、都市は大学と共にある」と語り、大学が都市の文化、経済、社会事情などについて独自の研究を行い、その成果はまた市民生活に還元される都市型大学を提唱しました。この建学の精神は総合大学となった現在も引き継がれています。
私たちは現在、学舎の建て替えやスポーツ施設の整備など、より良い教育環境を目指してさまざまな計画を進めています。特に、学術情報総合センターや基礎教育実験棟は、我が国では類を見ない立派な施設です。また、総合教育の充実をはじめとする教育研究体制の見直しや、学生による授業評価、ティーチング・アシスタントの導入など、より魅力的な授業になるよう多くの試みを行っています。本学では大学院が早い時期に整備され、すべてに学部に後期博士課程まで設置されています。これまで国際的にも高く評価されている多くの研究成果を生み、また、多数の優れた人材を輩出してきました。今後とも創造的な教育と研究ができるよう、大学院の更なる充実を進めます。
大阪市立大学は、「いちだい」という愛称で大阪市民から親しまれてきました。教員と学生が同じ目線で話し合える、庶民的な大学です。私は、受験生の皆さんがこの自由で進取の気風に満ちた本学で学び、幅広い学習とさまざまな体験を通じて、新しい自分を発見していただきたいと思います。自ら考え、責任をもって行動できる、そして未知の事柄に柔軟に対応できる力を養っていただきたいと思います。

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